日本植物病理学会ニュース 第16号 (2001年08月)

【名誉会員・永年会員の略歴とお話】
名誉会員 後藤正夫
昭和6年3月1日静岡県生まれ.昭和26年静岡県農林専門学校農学科卒業.昭和26年静岡大学助手雇員,昭和28年同助手,昭和40年同助教授,昭和48年同教授,平成6年同定年退官,名誉教授.平成6年MOA自然農法大学校講師,現在に至る.昭和36年農学博士.昭和46年日本植物病理学会賞受賞.平成11年日本農学賞,読売農学賞受賞.昭和45年〜平成8年病名調査委員会委員,昭和51年〜平成9年評議員,昭和53年〜平成5年IUMS細菌命名委員会委員. 平成5年IUMS細菌分類委員会委員・同アジア地区連絡委員(2年).平成4年関西部会長(1年).平成4年日本学術会議植物防疫研究連絡委員会委員(2年).第2回,第3回,第4回国際植物病理学会議組織委員会細菌病部会委員,第5回国際植物病理学会議組織委員会プログラム委員長.
私は40年余にわたって植物病原細菌の特性を,分類学,生理学,生態学の視点から研究してきました.この間,昭和38年にはIRRIで東南アジアのイネ細菌病について研究し,昭和41年にはカリフォルニア大学細菌学科で細菌分類学を勉強し,昭和43年には全インド水稲改良事業の顧問としてイネ白葉枯病の研究を立ち上げ,昭和52年にはカンキツかいよう病対策顧問としてアルゼンチンで指導にあたり,さらに平成4年と平成6年にはJICA短期専門家として中国の樹木細菌病の調査研究に従事しました. 現在は“Lab. pathologist”から“Field pathologist”に転じて,圃場に発生する作物のさまざまな病害についてリアルタイムで観察・追跡しております.教科書の記述と違う発生状況の現場に遭遇するたびに,植物病理学の奥の深さと面白さを実感しております.そして調査研究した結果を後生に残す場を与えてくれる学会の有り難さと,その学会に研究者として育てて頂いた幸せをしみじみと噛み締めている昨今であります.

永年会員 兼子 勇
大正15年1月27日山形県に生まれる.昭和19年寒河江中学から陸士予科を経て20年11月盛岡農専に転入学,植物病理学を専攻,永井教授の指導を仰ぐ.食糧難で受講10ヶ月23年3月卒業.休講中山形農試で松浦技師のイネ紋枯病研究に関わる.昭和23年4月農林省農地課に採用,同年8月農政局農産課に配置換7月輸出入植物防疫法成立.検疫時報(後に植物防疫)発刊に助力.同25年5月植物防疫法が制定,国内の検疫及び防疫迄網羅,26年には食糧,木材,種馬鈴薯検疫も開始,定員も急増,同年2月には植物防疫課が発足した. 規定,要綱等も施行された時期であった.同27年対米輸出みかんカンキツ潰瘍病無病地帯設定のため,和歌山県を調査.同29年横浜植物防疫所に配置換,輸出検疫を担当,千葉県の対米グラジオラス栽培地検査で赤斑病類似症状を発見したが,学会に発表できず残念.同36年東京支所に転じ,八丈島のフリージア栽培地検査で,昔から忌地病と言われた大量の青枯症状は,菌核病であることが判明した.同42年秋田出張所長.秋田大学塚本教授主宰の生物研究会に参加.同47年大阪支所管理官.同52年横浜植物防疫所国際2課管理官. 同54年伏木支所長.同57年清水支所長.同58年4月退官.同年5月第一園芸(株)技術顧問,テクノホリティ園芸専門校講師,エラブユリウイルス病対策に鱗片繁殖を導入.エラブユリ・フリージヤ球根ネダニに耐性ができ,トクチオン千倍球根30分浸漬が有効(野菜試桑原氏).エラブユリ茎腐疫病は新病害(横浜植防)カスミ草苗コブ病はErwinia herbicolaと判明(静岡農試牧野氏).グラジオラス連作障害防止には,隔2年作堆肥5トン/10a木子栽培が有効.グラジオラス球茎の腐敗防止には,10月上旬堀上げ直後薬剤消毒が有効. カーネーション,カスミ草萎縮叢生症が和歌山県に送った長野産カスミ苗から大発生した.東大難波教授の診断では接ぎ木伝染,土壌伝染,ファイトプラズマ,ウイロイドいずれも陰性であった.平成9年四国農試から高温,多灌水下で発症すると発表.平成7年退職.
植物防疫所,特に横浜の方には数々の同定を依頼し,厚くお礼申し上げます.学会の繁栄と皆様のご健勝を祈ります.

永年会員 澤村健三
大正14年4月14日,北海道で出生.昭和19年北海道大学予科(農類)入学,昭和25年3月北海道大学農学部農業生物学科卒業.同年4月,農林省東海近畿農業試験場園芸部(静岡県興津町)に勤務.田中彰一部長,北島博研究室長,山田S一技官の指導を受けカンキツ病害研究の助手となる.岸 國平,宮川経邦氏と机を並べて切磋する.昭和28年6月農林省東北農業試験場園芸部(青森県藤崎町)に転任.以後主としてリンゴ病害の研究に従事.今や世界第3位の生産量を誇るリンゴ「ふじ」を育成した試験場であった. 昭和35年,新人として柳瀬春夫氏が採用された.
昭和36年,かねての方針通り全場挙げて「ふじ」原木とともに盛岡市へ移転となった.やがて機構改革によって園芸試験場盛岡支場と改称される.昭和42年,星野好博氏に代わって病害研究室長となる.同年,「リンゴ斑点落葉病に関する研究」で北海道大学より農学博士の学位を受く.昭和46年,リンゴ高接病の病原ウイルスの解明のため「日本におけるリンゴの潜在ウイルスに関する研究」をテーマにワシントン州立大学Mink博士との盛岡での共同研究が決まっていたが,山口 昭氏に後を託して弘前大学に出向することを決めた. 弘前大学では20年間勤務し,原田幸雄氏の協力で,大勢の卒業生を世に送り出した.平成3年3月定年退官.現在名誉教授,青森県植物防疫協会顧問.昭和47年より平成3年まで病理学会評議員,東北部会長を2回(昭和48年,62年)勤める.
研究生涯を振り返ってみると,内心忸怩(じくじ)たるものがあるが,何の巡り合わせかリンゴの歴史的な病害と出会ったことが幸いであった.やり残したことばかりであるが,後輩の皆様に期待したい.

永年会員 安盛 博
大正15年2月18日京都市に生まれる.昭和23年京都大学農学部農林生物学科に入学,翌年植物病理学講座に入り,赤井重恭教授より卒論指導を受ける.昭和26年卒業後,直ちに同講座助手となり,昭和41年島根農科大学植物病理学講座山本昌木教授のもとで助教授となる.その間,ウリ類たんそ病に関する研究により,昭和39年京都大学農学博士の学位を受ける.
昭和41年群馬県林業試験場に移り,樹病関係の仕事をと思っている矢先,林業試験場長に任命された.そのため,林業全体の知識を勉強しなければならず,さらに高崎市にあった約5町歩の林業試験場が厚生省の施設として買収されるので,移転を余儀なくされ,その候補地の選定と移転業務もこなさなければならなくなった.慣れない土地で,全く経験のない仕事であり,土地買収交渉のため毎夜,農家に出掛けるような情況であった.それでも約2年を掛けて,約7町歩の新しい林業試験場が完成した. そしてその後は場内に,県民に広く森林の重要さをわかってもらうための樹木園と,林業普及のための実験林を別の地に造った.その間も,個人的には樹木病害などの病原菌鑑定や腐朽菌の研究を続けていた.
昭和55年,群馬県立女子大学(4年制)が設立され,生物担当教授として迎えられた.研究も自由に出来るようになったので,もう一度自然を広く環境の立場から見直し,樹病学の在り方なども考えたいと思うようになった.そのためマツタケ菌の胞子発芽の研究や,カナダのロッキー山脈に出掛けたり,できるだけ多くの植物を観察した.また,林業試験場長になった頃から県の文化財保護審議会(樹木担当)をしていたので,天然記念物指定のため県内各地を歩くことが多かった. 大学定年後は県の天然記念物指定物件のまとめや指定手引書,樹木医ハンドブックなどを出版したりすることとなった.最近は全国巨樹・巨木林の会の理事などもし,アメリカのカリフォルニア州の世界最高の木,世界最長寿の木を見に行ったりした.
生涯を通じ,植物病理学に専念できた人は幸せだと思うが,回り道した人生もまた楽しいものであった.植物病理学会の発展を願って止まない.

【平成13年2月〜5月の学会活動状況】
1. 大会開催報告
平成13年度大会は平成13年4月2日から4日までの3日間にわたり仙台国際センターで開催された.大会参加者は941名にのぼり,393題の講演発表がなされた.懇親会参加者は575名であった.また,名誉・永年会員からは17名もの先生方が参加してくださり,盛会のうちに終了することができた.
今大会では,オーバーヘッドプロジェクター(OHP)を用いた講演がはじめて行われたが,大きな混乱もなくすべての発表を無事終えることができた.また,講演全体を通じて活発な議論が交わされた.
本大会運営委員会は東北地区の会員により組織されたが,開催にあたっては,宮城県,仙台市,協賛会社などからの多大なご支援をいただいた.ここに記して感謝の意を表したい.(大会事務局)

2. 研究会開催報告
(1) 第4回植物病害生態研究会
第4回植物病害生態研究会は平成13年4月5日(木)に東北大学川内キャンパスで72 名が参加して開催された.今回は前半を「さび菌の生態,生存戦略とその防除」とのテーマで筑波大の柿嶌 眞教授の座長により,青森農試の岩間俊太氏が「ニンニクさび 病の生態から見た防除法の検討」,弘前大学の原田幸雄教授が「さび菌の生存戦略をかいま見る」と題する講演,後半は「抵抗性マルチラインは永続的か?」のテーマで 神戸大学の土佐幸雄助教授の座長により,宮城古川農試の笹原剛志氏が「ササニシキマルチラインにおけるいもち病菌のレース頻度の変遷」,中央農研センター北陸の辻本雅子氏が「いもち病菌の病原性変異要因としての準有性的組み換えと突然変異」,九州大学理学部の佐々木顕助教授が「植物と病原菌の遺伝子対遺伝子相互作用にもとづく共進化と空間ダイナミックス」と題した講演の後,それぞれのテーマに関して非常に活発な総合討議がもたれた. 次回は14年度大会翌日に大阪府立大学で開催する予定である.(石黒 潔)

(2) 第11回殺菌剤耐性菌研究会
この研究会のシンポジウムは,平成13年4月5日,東北大学川内キャンパスで,131名の参加を得て開催された.東北地方における耐性菌関連の試験研究事例として,リンゴ褐斑病(秋田果樹試,佐藤 裕氏),ブドウ晩腐病(秋田果樹試天王,深谷雅子氏),花き類灰色かび病(フラワーセンター21あおもり,杉山 悟氏)が紹介された後,新規薬剤であるフェンヘキサミド(商品名パスワード,日本バイエルアグロケム(株),沢田治子氏),シアゾファミド(商品名ランマン,石原産業(株),三谷 滋氏)に対する感受性検定法とベースラインデータが示された. 続いて,イネ,ムギ,野菜(JA全農大阪支所,武田敏幸氏)と果樹(茨城農総セ園芸研,冨田恭範氏)におけるDMI耐性菌問題の経過と現状が述べられた.アメリカコーネル大学から招いたWolfram Koeller氏は,リンゴ黒星病菌のDMI剤とストロビルリン系薬剤に対する耐性菌問題をまとめて紹介した.最後に,「耐性菌検定を現場に生かすには」と題して,静岡農試の外側正之氏と前出の冨田恭範氏が問題点を整理し,なすべき対応について,会場の参加者とも議論した.なお,講演要旨集(1部2,000円)をご希望の方は,研究会事務局(農環研農薬影響軽減ユニット,TEL&FAX: 0298-38-8307)までご連絡下さい.(石井英夫)

(3) 第7回バイオコントロール研究会
第7回バイオコントロール研究会は,「IPMの中における生物防除 −現状と展開―」をテーマに,平成13年4月5日,東北大学川内キャンパスにおいて,200余名の参加を得て開催された.研究会では,「IPMの中における生物防除」(農環研,對馬誠也氏),「マルチラインを利用した稲いもち病防除」(宮城農セ,辻 英明氏),「栽培環境改変による畑作物病害の制御とその展開方向」(北海道大学農学部,内藤繁男氏),「イネいもち病の栽培管理および発生予察によるIPM」(東北農研セ,小林 隆氏),「熱水土壌消毒の効果と問題点」(九州・沖縄農研セ,西 和文氏),「化学物質による植物の全身獲得抵抗性の誘導」(理研,山口 勇氏),果樹病害の生物防除 −研究の現状−(果樹研,大津善弘氏)の講演が行われ,さらに「PGPR研究の現状と展望 −第5回国際PGPR会議報告から−」(福井農試,岡本 博氏)によるPGPR研究の最新情報が紹介された. 総合討論ではIPM推進上の問題点等に関して熱心な討議が行われた.なお講演要旨集をご希望の方は,研究会幹事(農環研微生物分類研e-mail: seya@affrc.go.jp)までご連絡下さい.(對馬誠也)



【学会関連各委員からの報告】
1. 日本学術会議報告
第18期の日本学術会議は平成12年7月26日に発足し,総会において,会長に吉川弘之氏(第5部),副会長に吉田民人氏(第1部)と黒川 清氏(第7部)をそれぞれ選出し,本期活動計画として,1) 人類的課題解決のための日本の計画の提案,2) 学術の状況並びに学術と社会との関係に依拠する新しい学術体系の提案,を採択した後,具体的な活動を開始した.第6部会では,部会長に山下興亜氏,副会長に松田藤四郎氏,幹事に浅見輝男氏と祖田修氏をそれぞれ選出し,本期活動計画として,1) 食・農・環境・生活等の問題解決の方法と方策,2) 21世紀の農学のあり方と研究教育体制の構築,を採択した後,これら2課題に関するそれぞれの分科会を発足させて具体的な活動を開始した.また,農林水産大臣諮問事項「地球環境・人間生活に関わる農業及び森林の多面的な機能の評価について」に対して,第6部を中心に積極的に対応することとした. 一方,学術会議主催の公開講演会「食から見た21世紀の課題−日本の食はこれでいいのか」を平成13年3月19日に学術会議講堂で,また,第6部主催の公開学術講演会「循環型社会の形成と農学−未来世代のために我々は何ができるか」を平成13年7月5日に宇都宮大学大学会館で,それぞれ開催した.(日比忠明)

2. 第18期 第2回日本学術会議植物防疫研究連絡委員会議事報告
平成13年3月21日(水) に開催された標記委員会の概要を以下に記す.前回提案のあったヒアリングの第1回目として,日比委員より「植物病原菌の薬剤耐性の分子機構」についての話題提供がなされた.委員長から,学術会議総会・連合部会について,(1)会議の原則公開,(2)公開講演会「食から見た21世紀の課題-日本の食はこれでいいのか」が開催されたこと,(3)農林水産大臣より学術会議に「地球環境・人間生活にかかわる農業及び森林の多面的な機能の評価について」諮問された旨の報告があった.その他,平成16年度(2004)共同主催国際会議の募集について説明があった.
科研費審査委員の推薦(平成13年5月31日締切)について,研連内の委員配分の原則ならびに順番について,下記のように確認し了承された.
@ 植物保護一段審査員(定員6名,2年任期で半数交代)
研連内の配分原則: 植病 2,応動昆 2,農薬 1,雑草 1
平成14年度予定: 継続;応動昆 1,農薬 1,雑草 1,
新規;植病 2(4),応動昆 1(2);括弧内は推薦人数
A 植物保護二段審査員(定員1名,蚕糸研連と2年交代)
研連内の順番原則: 植病と応動昆で交互
平成14,15年度予定: 応動昆 1(2);括弧内は推薦人数
B 応用分子細胞生物学一段審査員(定員12名,8研連で各1〜2名)
研連内の順番原則: 植病,応動昆,農薬で輪番
平成14年度予定: 継続;植病 1,新規;応動昆 1(2);括弧内は推薦人数
なお,正式書類が来た時点で,該当学会は期日までに審査員の推薦をお願いしたいこと,@への微生物研連の参画は前期同様,お断りする旨が確認された.平成13年度シンポジウムは平成13年11月16日(金)13:00〜17:00に,日本学術会議講堂で別項で記したように開催することとした.次回の委員会は平成13年9月12日(水)14時より,日本学術会議第6部会会議室にて行うこととし,次回のヒアリングを河野委員にお願いすることとした.(寺岡 徹)

3. 日本学術会議微生物学研究連絡委員会報告
平成13年6月25日に開催され,下記の審議を行った.
日本学術会議の部会等の公開に伴う関係規則の一部改正案について委員長より説明があった.科学研究費の分科・細目が平成15年度公募を目途に大幅な見直し作業が進められているが,当委員会からは複合領域に「微生物科学」の新設を要求していた.委員長より学術体制常置委員会科学研究費分科会の見直し案では新分科として載った旨の報告があった.しかし,細目欄は空欄になっており,今後の検討に向けて,各学会においても魅力あるキーワードを考えるように依頼があった. 国際微生物学連合IUMSより,IUMS役員の推薦依頼,2008年の開催地立候補の意志伺い,IUMS Awardについての推薦依頼,By Lawの改正の可否伺いが各委員宛届いているが,本委員会としては,一本化して対応することとした.但し,Awardについては,各学会が推薦者を出し,本委員会が後押しすることとした.この他,International Committee on Systematics of Procaryotes から2002年IUMS開催までの期間の実行委員の推薦依頼があったが,この実態が不明でもあり,本委員会から一本化しては推薦しないこととした. WFCC(World federation of Culture Collection)の総会が日本で開催されるとの紹介があった.(露無慎二)

4. 日本農学会報告
平成13年度日本農学会大会
日時: 平成13年4月5日
会場: 東京大学山上会館
本年度の日本農学賞および第38回読売農学賞の受賞者は次の7氏である.
1) 北海道における農業生産基盤と農村空間形成に関する研究
農業土木学会:北海道大学名誉教授 農村空間研究所長 梅田安治
2) カルシウム代謝および骨粗鬆症予防の基礎および応用に関する研究
日本家政学会:日本女子大学家政学部教授 江澤郁子
3) 第一胃内微生物のアミノ酸代謝と反芻動物の栄養に関する研究
日本畜産学会:宮崎大学農学部教授 小野寺良次
4) 天然の生物制御物質に関する生物有機化学的研究
日本農芸化学会:東北大学大学院農学研究科教授 折谷隆之
5) キャッサバ育種研究体制の確立と新品種の開発
日本育種学会:神戸大学農学部教授 河野和雄
6) 細胞内寄生性細菌による人獣共通感染症の制圧
日本獣医学会:岐阜大学大学院連合獣医学研究科教授 平井克哉
7) 鉄欠乏耐性イネの創製に関する研究
日本土壌肥料学会:東京大学大学院農学生命科学研究科教授 森  敏
また、同日午後「農学領域におけるゲノムサイエンスの展開(Part 2)」というテーマでシンポジウムが開催された.

【今後の本学会の活動予定】

【関連学会研究集会情報】

【今後の関連国際研究集会情報】

【会員の動静】

【書 評】
鈴井孝仁・岡田齋夫・国見裕久・牧野孝宏・斎藤雅典・宮下清貴 編:「微生物の資材化:研究の最前線」B5版,364pp.,発行:ソフトサイエンス社,\12,000+税
微生物とその機能の多様性に注目し,それを農業生産の場,環境管理の場に利用しようとする試みは早くからみられる.その研究成果についてはこれまでにも繰り返し取り上げられ,成書にもなっている.食糧問題・環境問題が重視されるようになってきた現在,その中で果たす微生物の役割への期待もますます高まっている.このような現状のなかで,微生物利用の実用化にむけて,微生物の資材化の研究に焦点をおいた本書が出版された.本書はこれまで,各分野で微生物の研究に携わってきた研究者たちの編集によるものであり,各項目の執筆者は現在微生物の利用,資材化に正面から取り組んでいる研究者たちが中心になっている. その内容は,微生物の多様性とその資材化に関する総論をはじめとして,作物生産,病害防除,害虫防除,雑草防除,さらには環境管理における微生物の利用と資材化と,多岐にわたっている.各項目において,海外の研究,日本の研究の最前線が紹介され,興味深い成果が報告されている.項目間に精粗・アンバランスはあるものの,いずれの章も興味深く読めるものとなっている.最前線の研究成果が大変興味深いのはもちろんであるが,その実用化への目途がどのようなものであるか,執筆者の希望をまじえた考え方が示されているのも興味深い.さらに,研究成果の紹介ばかりでなく,研究のすすめ方,微生物利用の可能性,その方法など執筆者の考え方が随所に示されており,微生物利用の方向・可能性を考えるうえで貴重である. 研究者の情熱にふれる思いがする.通常,このような解説書は,自分の関係する分野の項目には目を通すものの,他の項目は必要に応じて見ようとするものである.本書は各項目とも興味深い内容にあふれているので,ぜひ全章を通読して,自己の専門知識の確認と専門以外の分野の知識を得るとともに,考え方を知ってほしい.他分野から受ける示唆は大きいものと考えられ,必ずや自分の研究に役に立つであろう.微生物とその機能の研究成果が蓄積され,その利用が実用化されはじめている現在,このような成書が出版されたことは大きな意義をもつ.現在研究に携わっている人たち,これから研究をはじめようとする人たちの必読の書である.(生越 明)

【学会ニュース編集委員会コーナー】

編集後記