| 【今後の本学会の活動予定】 1. 平成12年度部会開催予定 2. 談話会, 研究会開催予定 【今後の関連学会惰報】 【今後の関連国際会議情報】 【本学会活動状況 (平成11年6月 〜 平成12年1月) 】 1. 部会活動状況
研究会開催報告 (1) 平成11年度植物感染生理談話会 平成11年度植物感染生理談話会は平成11年7月14日(水) 〜 16日(金)の3日間にわたり, 風光明媚な九重・阿蘇国立公園内, 大分県湯布院町山下湖温泉に位置する湖畔の宿, 九重レークサイドホテルで開催された。今回は, 「病原性と低抗性の分子基盤 (Molecular Basis for Pathogenicity and Resistance) 」を課題とし, まず初日午後, 九州大学農学部育種学講座教授吉村淳博士による「イネゲノムのマッピング」の特別講演が行われた。一般講演では, 細菌病関連3題, 糸状菌病関連6題, ウイルス・ウイロイド関連3題の話題提供があった。 最後に, 神戸大学農学部眞山滋志氏に総合討論の座長をお願いし, 活発な論議が行われた。また, 初日は原則全員参加で夕食を兼ねた懇親会, 2日目午後3時からはテニス, 釣り堀, 温水プール, 湖畔ならびに湯布院町散策等で楽しんでいただいた。地理的, 時期的条件からか, 参加者総数は70名であったが, 夏の学校にふさわしい会場設定をしたつもりであり, 参加者からは好評を博した。平成12年度の本談話会は, 高知大学の奥野哲郎氏のお世話で開催される予定である。なお, 本談話会の講演集 (1部 2,500円) をご希望の方は, 九州大学農学部高浪洋一 (Fax 092-642-2835, E-mail: takanami@agr.kyushu-u.ac.jp) まで御連絡下さい。(高浪洋一) (2) 第20回植物細菌病談話会 第20回植物細菌病談話会は平成11年9月21日(火) 〜 22日(水)に山形県鶴岡市出羽庄内国際村ホールで80余名が参加して開催された。今回は特別のテーマを設定しないで発生生態, 生物防除など各分野からの次のような話題提供をもとに, 活発な討論がなされた。1) 東北地方における植物細菌病の発生概要, 2) オウトウの枯損をひきおこす細菌の発生生態, 3) ヒラタケ腐敗病の発生を抑制するキノコ由来細菌について, 4) イネ白葉枯病菌のレース関連DNA領域, 5) Burkholderia glumaeのトキソフラビン産生遺伝子群の解析, 6) 内生細菌を用いた作物病害防除, 7) 土壌による水溶性アルミニウム流出の差異と特殊施肥法によるジャガイモそうか病の防除法, 8) ハクサイ汁液に含まれる軟腐病細菌のバクテリオシン誘発物質, 9) 植物病原細菌を利用したスズメノカタビラの防除, 10) 細菌が生産する成分の多様性とその利用−P. tolaasiiの毒素とJ. lividumの色素を中心に−, 11) 植物病原細菌のゲノム解析の世界的動向。 最後に全体にわたる要点と今後の課題, 展望等を中心に総合討論が行われ成功裡に終了した。なお, 講演要旨集には, この他に「最近報告された新しい細菌病 (2)」が掲載されている。次回は2年後の平成13年に北海道で開催されることになった。(富樫二郎) 【学会関連各委員からの報告】 1. 日本学術会議報告 平成11年10月25 〜 28日に開催された日本学術会議の総会において, 政府に対し「我が国の大学等におげる研究環境改善について」の勧告を行うこと, 及び日本学術会議の自已改革を進めるために「日本学術会議の自已改革について」と「日本学術会議の位置付げに関する見解」の声明を行うことについて審議を行った。第6部主催による生物資源とポスト石油化学についてのシンポジュウムが平成12年2月16日に開催された。17期日本学術会議第6部の活動の一環として, この課題を元にした対外報告を作成し, 今期末に公表する予定である。 各学会協と日本学術会議との連携を深めるため, 第6部会員と第6部に所属する各学協会会長との懇談会を5月頃に昨年同様の方式で開催する予定である。17期日本学術会議も今年の7月をもって終わり, 新たに選出される会員による18期へと引き継がれるが, 本学会はすでに日比忠明氏を次期会員侯補者に決定している。(土崎常男) 2. 日本学術会議植物防疫研究連絡委員会報告 本研連の主催で, シンポジュウム「植物保護関連の内分泌撹乱物質の実態」を平成11年11月12日に開催したが, 151名が参加し活発た質疑応答が行われた。平成13年度より, 科学研究費補助金 (学術振興会に係わるもの) の年間スケジュールが変更となり, 締め切りが10月上旬となる予定で, 締め切りは従来より約2ケ月早くなる。分科細目「植物保護」の1段審査委員は平成12年度より6名に増員されたが, 13年度の1段審査委員の定数 (6名) の学会への割り振りについて, 12年2月16日に開催した研連委員会で協議した結果, 委員の配分は分野別申請課題数を勘案して行うこと, 及び各分野には最低1名の定数を配分することを原則とすることにし, その結果, 植病2, 応動昆2, 農薬1, 雑草1とになった。 なお, 徴生物研連から定数配分の要請があったが, 定数は研連に配分するのではなく, 分野別に配分するとの原則を微生物研連も了承されるよう申し入れた。分科細目「応用分子細胞生物学」の1段審査委員は, 8研究連絡委員会に対し12名の割り当てがあるが, 配分は8研連のローテーションで行われる。植物防疫研連では平成13 〜 14年に2名 (植病, 農薬), 15 〜 16年に1名 (応動昆), 17 〜 18年2名 (植病, 農薬), 19 〜 20年1名 (応動昆) といった配分で審査委員の推薦を行うことになった。(土崎常男) 【関連国際会議の概要紹介】 1. Silicon in Agriculture Conference 会議は1999年9月26 〜 30日に米国のフロリダ州で開催された。ケイ酸の農業に果たす機能と役割を検討する目的で開かれ, 今回が第1回であり, 第2回は2002年に日本で開催される予定になっている。100人弱の規模で行われ, 16ヶ国からの参加があった。発表数は口頭発表とポスターセッション合わせて60課題有り, うち病害虫関連は18課題で, 多岐にわたる分野のなかで最も多かった。多くの研究者がケイ酸を「IPM」の一つの手段として位置づけ研究を行っていた。また, イネ科作物以外の病害に対しての効果も発表されていて, ケイ酸の適応範囲は広がりつつあるようだった。日本からは東北農試病害生態研究室長の石黒潔氏が, 「Review of Research in Japan on the Roles of Silicon in Conferring Resistance against Blast Disease in Rice 」のタイトルで報告した。 目本には, 古くから世界をリードするケイ酸に関する研究成果がありたがら, あまり知られていないのが残念であった。会議の目的の一つに, 研究者間の交流が挙げられていたためであろうか, ポスターセッションでは食事と飲み物が用意され, 和気あいあいとした中で意見交換が行われた。(早坂剛) 【会員の動静】 【書評】 1. 渡邊垣雄: 研究余録『植物病理学と土壌菌』ライフリサーチプレス, 191頁, 2000年1月 (1,600円) 本書には植物病理学と菌学に興味を抱き, その分野の研究に情熱を燃やし, 楽しく励んできた一研究者の40年近い研究生活が生き生きと浮き彫りにされている。内容は著者の自分史であるが研究の醍醐味を充分に伝えており, 若い研究老者の研究心を刺激してくれる内容で, とくに土壌病害と土壌菌の研究者には興味深く, 有益な示唆を与えるであろう読物になっている。著者のアメリカ留学から帰国後の農水省研究機関での勤務までを通じて関わった土壌病害研究の世界と著者の研究成果が記述されており, 一読することで土壌菌研究の世界を垣間見ることができる。 内容は土壌菌の種類, 菌の同定と記載, 生理, 生態, 研究の現状と問題点, 研究現場の様子, 研究に必要た心構えなど多岐にわたっており, また, 論文作成, 論文審査, 受賞などの研究活動や研究成果を通じて, 具体的に研究生活の様子や苦労, 論文作成時の心がげ, 問題点, 成果の発表や印刷されることでの喜び, 失敗, さらに在外研究での生活と研究施設の紹介, 土壌病害に関連した諸問題の見聞録, 台湾, パラグアイ, ドミニカでの病害調査の印象と現地の様子, 海外での日々の生活, 学問的にもまた仲間のつながりでも有益でまた楽しい国際会議での様子などが簡潔に記述されている。そして, 著者の研究活動の様子だけでなく, 随所に著者の考えが折り込まれており興味がもてる。しかし, 門外漢には見当がつかない菌の種名が説明もなく次々出てくるところなどは, 菌に興味があって, ある程度の知識を持った読者でないと面白さが半減するであろう。 本書は本のタイトルから連想されるような堅い本ではない, 土壌菌に長年かかわってきた一植物病理研究者の豊かな研究活動の軌跡が読み物風に書かれた自分史である。内容が想起されるようタイトルにもう一工夫が欲しかった。(栃原比呂志) 【海外留学印象記】 Confederatio Helvetia 1999年9月から12月まで4ケ月間, 経済協力開発機構 (OECD) 共同研究プログラムの派遣研究員として, スイス連邦工科大学 (ETH) 植物科学研究所のUeli Merz博士のもとで研究を行う機会を得ました。同プログラムは「持続的な農業システムのための生物資源管理」をメインテーマとし, さらに4つの研究テーマが設定され, 参加国の研究員を最長26週間まで, 国外の研究機関に派遣し共同研究を行わせるもので, 私はその中のテーマ1「植物/土壌システムにおける微生物の利用」に,「ジャガイモ粉状そうか病菌の地域間差異と拮抗微生物を利用した防除」という課題で応募し採用されました。 以下, わずか4ヶ月でしたが, 日本とは異なる文化に接した時間を振り返ってみます。 私が滞在したETHはスイス第一の都市チューリヒの中心部の高台にあり, テラスから市街が一望できる絶好のロケーションにあります。そこからは市街地の歴史ある多くの寺院の尖塔やゆったりと流れるリマト川, チューリヒ湖や美しい山々を見ることができます。街中を縦横に走るトラムのETH駅正面にある植物科学研究所にはPlant Genetics, Plant Biochemistry等の研究分野があります。Plant Pathology groupはそのうちの一つで, 統括するMcDonald教授を中心にPopulation biology, Biocontrol, Annual crop, Perennial cropの各グループに分かれています。それぞれのグループは教授や博士研究員を中心に, ポスドク, 大学院生で構成され, そのグループの研究対象について様々な角度から, 集中的に研究を行っていました。Group内での実験器具, 試薬類, 機器類等は専門の技官やスタッフによって一元的に管理され, 無駄なく, 合理的に運営されていました。 Merz博士はAnnual cropグループに属していますが, 実際の研究勢力は彼自身とパートタイムの研究員の二人で, 私は彼らとともに粉状そうか病菌の感染機構, 検出ならびに生物防除について研究を行いました。 彼らの一日は8時半頃始まり, 朝9時半からのコーヒータイムでは, スタッフや学生が当番制でコーヒーを用意します。グループでは出身国・地域によってコーヒーの好みも違うため, 濃さの違う3タイプが用意されます。アメリカ出身の教授はいつも“Schwach (うすめ) ", イタリア語圏からの学生は"Stark (ストロング)"を選びます。私は日本人らしくいつも"Mittel (中ぐらい)"でした。スイスは4つの公用語 (独, 仏, 伊, ロマンシュ) を持っており, チューリヒはドイツ語圏にあります。彼らは普段はドイツ語, それもスイスジャーマンで話すので, 大学で適当にドイツ語を学び, 留学が決まってからラジオドイツ語講座を大慌てで聞き始めたような私のような人間は, 彼らが時に各自のペット自慢を, そして時に研究体制, 政治情勢を熱く語っているのを全く理解できませんでした。 私は大学での普段のコミュニケーションは英語でとっていましたが, 日常生活ではドイツ語は避けて通れないので, 学内で留学生向けに無料で開かれているドイツ語講座を, 私も多くの留学生に混じって2ケ月間受講しました。地元の床屋に行って, 習いたての片言のドイツ語で髪を切ってもらったのは良い思い出です。しかしながら, スタッフや学生は独, 仏, 英は当然として, 普通に3 〜 4カ国語を話すのには感心しました (欧州各国では当然なのかもしれませんが)。 私は民間の学生寮に住み, 食事は主に大学の学食 (Mensa) で摂っていました。Mensaではいくつかの定食 (Menu) が提供されていましたが, 毎日どれかのMenuには必ずフレンチフライ, レシュティー, シュペツリといったジャガイモ料理が, 日本のご飯と同じようにメインで盛られていました。また, 仕事柄, 買い物に出たスーパーではジャガイモ売場をよく見たりしていましたが, 売られているジャガイモは品種ごとに袋詰めされて, 常に4, 5品種が並べられ, その袋にはこの品種はどの料理に適している, といった情報が印刷されていました。ジャガイモ, といえば男爵薯かメークインしか知らず, 時にはジャガイモ, としか書いて売っていない日本のスーパーとは違い, ここではジャガイモは確かに食文化の一端なのだ, と認識させられました。 スイスといえばハイジの舞台となったアルプスの雄大な自然が思い浮かびますが, 週末を利用してその一端に触れることもできました。国土自体が比較的小さく (九州と同じくらい), 鉄道網が発達しているので, チューリヒからアルプス地方にも容易にアクセスができます。アイガー, ユングフラウやマッターホルンの雄々しくも, 周りの牧歌的な風景に不思議に溶げ込んだ美しさには息を呑みました。そしてその自然をいたずらに保護するのではなく, それらを資産として利用しつつ保護すべき部分についてはそうしていくという, 明確な姿勢を感じました。チューリヒで過ごした4ヶ月は, スイスという国, そこにすむ人々をよく知るためにも, もちろん研究をするという意味においてもあまりに短いものでしたが, その日々は私に多くの刺激と新鮮な感動, 出会いを与えてくれました。 ここで得られたものをこれからの研究生活に生かして行かねば, と今は考えています。最後に留学に際してご迷惑をお掛けし, またお世話になったETHならびに農研センターの方々に心からの謝意を表したいと思います。 追記: 冒頭のConfederatio Helvetiaとは現在のスイス連邦の原型となった中世のヘルベティア国家連合のことで, 現在も貨幣にその名が刻まれています。Internetでスイスを表すchはこの略です。(中山尊登) 【学会事務局コーナー】 【学会ニュース編集委員会コーナー】 編集後記 |