| 【新学会誌JGPPの外国人原著編集委員の紹介】 日本植物病理学会報 (Annals of the Phytopathological Society of Japan) が平成12年より英文誌Journal of General Plant Pathology (JGPP) に引き継がれることになりましたことは, 会員の皆様にはすでにご承知と思います。JGPPの発刊にあたり, 各研究分野でご活躍の次の外国人研究者5名に原著編集委員に加わっていただくことになりました。Dr. Antonio Graniti (糸状菌), Dr. Noel T. Keen (細菌病), Dr. K. Sivasithamparam (土壌病害), Dr. Olen C. Yoder (薬理関係) およびDr. Milton Zaitlin (ウイルス病) が, それぞれの方と親交を深めておられた先生方のご依頼に対してご快諾くださった次第です。 ここに関係者のご貢献に対して敬意を表しつつ, 各位のプロフィールを紹介いたします。(JGPP編集委員長 眞山滋志) 1. Dr. Antonio Graniti のプロフィール Dr. Antonio Graniti 氏は, イタリア, フローレンス出身。1950年フローレンス大学を卒業, 1967年からバリ大学教授。1970 〜 1975年にはイタリア科学院毒素・菌類毒素研究所の所長を, また1975 〜 1980年には農務省植物病理学研究所の所長を兼務され, 同国の植物病理学発展の中心的役割を果たされている。Graniti教授の研究は地中海地域, 亜熟帯作物, 特にブドウ, オリーブ, カンキツ, アーモンド等の菌類病の記載から菌類毒素の病理学的意義まで多岐にわたり, その業績は250編以上の論文・著書に要約されている。 なかでも, 感染生理学に対する貢献は高く評価されており, 植物疾病の特異性, 菌類毒素の病原性への関与, 特にA. Ballio教授との共同研究により, 菌類毒素の構造とそれらの生理活性について顕著な業績を挙げられている。NAT0研究集会も主催され, 地中海植物病理学会運盟会長, イタリア植物病理学会誌Petriaの編集委員長, Phytopathologia Mediterranea, Plant Pathology などの編集委員としても活躍。1987年にはイタリア科学アカデミー会員に推挙されている。 2. Dr. Noel T. Keen のプロフィール Dr. Noel T. Keen氏はアイオワ州出身, アイオワ州立大学において学士・修士を修了, 1968年ウィスコンシン大学にてPh.D.を取得。同年よりカリフォルニア大学 (Riverside) 植物病理学科助教授, 副教授を経て1978年より教授, 1997年よりDistinguished Professorになっておられる。Flor の提唱した遺伝子対遺伝子仮説を分子レベルで実証するため1975年エリシター・レセプター説を提唱, その後ダイズの病原細菌Pseudomonas syringae pv. glicinea から非病原性遺伝子を世界で初めてクローニングし, それよりエリシター分子syringolideを単離同定, そのレセプター分子も同定して同細菌病における品種特異的低抗性の発現基盤: gene-for-gene説 (AvrD for Rpg4) を実証したことは有名。 また, Keen教授は発病因子 (ペクチン酸リアーゼ各アイソザイム) 生産遺伝子を世界で最初にクローニングし, さらにこれらの立体構造をも明らかにして分子植物病理学の方向付けを行った。1991年アメリカ櫃物病理学会 Fellow, 1995年同学会Ruth Allen賞, 1996年米国科学推進協議会Fellow, 1997年には米国National Academy of Sciences のElected Memberに推挙された著名な分子植物病理学者。Phytopathology, Molecular Plant-Microbe Interactions, Journal of Phytopathology のEditorを務められ, 現在もPlant PhysiologyおよびJoumal of BacteriologyのEditorである。 同大学植物病理学科長などを歴任, 現在同大学Biotechnology Center の所長。1999年開催の日米セミナーのOrganizerであり, 親日家で友好的な方で, Keen教授の薫陶を受けたり, 学術交流を深めている我が学会員も多い。 3. Dr. K. Sivasithamparamのプロフイール Dr. K. Sivasithamparam氏は現在, 西オーストラリア大学 (Nedlands) 土壌化学および植物栄養化学科, 植物病理学研究室の教授。1971年より西オーストラリア大学 (パース) にてDr. C.A. Parker (現名誉教授) のもとで, コムギ立枯病の生物防除に関する研究に従事され, 1977年にPh.D.を取得。以来同大学にて西オーストラリアにおける大規模農業, 園芸および自然生態系における土壌病害防除に関する研究を行っておられる。現在までに糸状菌, 細菌, 線虫およびウイルス病の生物防除に関する研究で72名の博士論文を指導されている。194編の学術論文を発表されており, 菌学, 植物病理学の講義を担当。 4. Dr. Olen C. Yoderのプロフィール Dr. Olen C. Yoder氏はミシガン州出身, ミシガン州立大学Robert P. Scheffer教授のもとで, 1968年にMS, 1971年にPh.D.の学位を取得。引き続いて同氏はコーネル大学助教授(1971 〜 1977), 副教授 (1977 〜 1983), 教授 (1983 〜) となり, 植物病原菌毒素, 特に宿主特異的毒素の研究では世界的に卓越した業績を挙げられている。1999年にはNovartis Agricultural Discovery Institute のPlant Health部門部長に併任となり, 企業活動にも参加。Yoder教授の業績は宿主特異的毒素作用の分子機構, 毒素合成系の遺伝子解析, 毒素生産菌の疫学的研究, 病原菌類の進化など多岐にわたり, その成果は140編の著書, 論文等に発表されている。 1990年にはアメリカ植物病理学会Fellowを受賞, 世界で屈指の植物病理学者として高く評価されている。我が国の植物感染生理学, 特に分子生物学的研究にも多大の貢献をされ, 毒素研究のリーダーである。Plant Disease, Physiological and Molecular Plant Pathology, Molecular Plant-Microbe Interactionsなどに加え, Fungal Genetics, Current GeneticsのEditorとして活躍。また, NSF, USDAの科研審査委員, バイオテクノロジー関連政府委員も務められた。極めて友好的な方で我が学会員の中にもYoder博士の薫陶を受けた方も多い。 5. Dr. Milton Zaitlinのプロフィール Dr. Milton Zaitlin氏は, 米国コーネル大学植物病理学科の教授およびバイオテクノロジー部門の副所長。1949年カリフォルニア大学 (Berkeley) を卒業 (植物病理学), 1954年UCLAにてPh.D.を取得されている。ミズーリ大学, アリゾナ大学を経て1973年より現在までコーネル大学の教授を務められ, 植物ウイルスの基礎研究分野の第一線で活躍されている。Virology (1972 〜 1984) およびMolecular Plant-Microbe Interactions (1987 〜 1990) のSenior Editorを務められ, 1978年アメリカ植物病理学会のElected Fellowに推挙されている。American Society of Virologyの創始者の一人であり, NSF, NIHのPanel Memberなど多数の要職を歴任。多数の著書および原著論文を発表されている。 【研究助成募集】 【会員の動静】 編集後記 |