日本植物病理学会ニュース 第8号 (1999年08月)

名誉会員・永年会員・貢献者の略歴とお話
名誉会員 荒木隆男
 昭和2年7月22日大分県野津町に出生. 昭和20年3月大分県立臼杵中学 (旧制) 卒業, 同23年3月旧全国農業会高等農事講習所 (3年制) 卒業, 同年4月農林省に入省, 農事試験場病理部畑作病害研究室に配属, 同25年4月組織変更により農業技術研究所 (通称: 農技研) 病理科糸状菌病第1研究室に改称. 同33年5月同科果樹病害研究室 (平塚) の新設に伴い転勤, 再び組織変更に伴い同39年4月農技研糸状菌病第3研究室に配置換えとなる. この間, 同38年4月 〜 39年3月園芸試験場果樹第2部兼務. 同44年6月北海道農試草地開発部牧草第3 (病理) 研究室長に転出, 同53年5月農技研病理科糸状菌病第3 (土壌伝染病) 研究室長に転出, 同58年4月農林水産省を退職. 同年4月 (株)日本植物防疫協会研究所所長代理兼研究部長, 同63年8月技術顧問, 平成5年7月退職. 引続き同年8月より芝草農薬連絡試験委員長兼技術アドバイザー (非常勤) を委嘱, 他に同6年3月東日本グリーン研究所顧問, 同8年2月同研究所所長となり, 現在に至る.
 昭和37年1月農学博士 (北海道大学) . 非常勤講師: 東京大学農学部 (昭和42, 56, 58年, 土壌伝染病) , 北海道大学農学部 (同62年, 植物病害防除学) . 土壌微生物研究会会長 (同61, 62年) . 昭和57年日本植物病理学会賞受賞. 本学会では会計幹事, 編集幹事, 評議員, 会計監査委員など専ら裏方を務める.
 昭和42年10 〜 12月総理府派遣専門家として琉球農試に勤務, 検診法を含む土壌病害の研究に従事. 同55年3 〜 4月JICA派遣, ブラジル国セラード開発の巡回指導に参加. 平成元年3月英国へ出張 (農薬開発研究の実状視察と研究発表). 同3年2 〜 3月, JICA専門家としてペルー国の野菜類土壌病害の研究に従事.
 主な研究歴: コムギ立枯病の発生要因. サツマイモ紫紋羽病 (菌の栄養生理, 代謝産物等) . 紫紋羽病, 白紋羽病の発生と土壌条件. 203Hg, 35S標識殺菌剤の動態. 土壌殺菌剤の検定法. 3種のFusarium 属菌の免疫学的異同. 牧草, 芝草の主として土壌病原菌の分類, 生態, 防除. 弱土壌病原菌の類別と寄生能力.

名誉会員 奥八郎
 昭和2年6月1日大阪府生まれ. 岐阜薬学専門学校を経て, 京都大学農学部農林生物学科 (旧制) 入学. 同大学院 (旧制) から昭和29年三共株式会社高峰研究所に入社. 昭和37年農学博士. 昭和42年同社農薬研究所主任研究員, 生物研究第一室長. 昭和43年8月岡山大学農学部教授. 平成5年3月定年退官. 同年岡山大学名誉教授. 同年山陽薬晶株式会社顧問に就任, 現在に至る.
 非常勤講師: 東京農工大, 三重大, 島根大, 京都府大, 神戸大, 静岡大, ジョモケニアッタ農工大 (ケニア) , 高知大等の農学部, 北大, 九大, 近畿大の農学研究科, ノートルダム清心女子大 (現在) .
 学会活動: 日本植物病理学会評議員, 編集委員長 (昭和51 〜 54年) , 関西部会会長 (平成2年) , 日本農薬学会評議員 (現在顧問) , 日本植物生理学会評議員, J.Phytopathology (ドイツ) 編集委員, 第5回国際植物病理学会プログラム委員. 植物病理学, 植物生理学, 線虫等の国際学会, シンポジウム, 各国の大学などで招待講演多数.
 受賞: 日本植物病理学会賞 (昭和52年) , 日本農学賞, 読売農学賞 (平成4年) , 日本植物生理学会論文賞 (平成6年).
 研究: 三共農薬研究所で農薬の開発研究に携わっていた頃, 山本亮先生に誘われて執筆した昭和40年南光堂出版の『新農薬開発法』に, 殺菌以外に, 宿主に低抗性を付与するか, 病原性を不活化する化合物によっても病害を防除できる旨記述して, 現在市場に出回っているこの種の無公害農薬の出現を予見した. 岡山大学では, 宿主一病原体の相互関係, 特に病原性の解明に焦点を絞り, 病原性因子をエンドウ褐紋病菌から分離, 構造決定, 作用を明らかにして重要性を証明した (農学賞, 生理学会賞) . 他に, 松枯れ病の枯損機構として4種の毒素を同定して注目され, アメリカヘは研究の応援に, 中国へは招待講演に参加.
 現在も, 松枯れの防除農薬の開発に関与している.
 趣味: 洋画 (光陽会運営委員, 審査員) .

名誉会員 寺中理明
 本籍地は熊本県天草. 昭和3年2月19日東京に生まれる. 都立高等学校理科乙類 (旧制) を経て東京大学農学部に入学. 明日山秀文教授の下で, 日本のコムギ赤鍾病レースの分布を調べた. 来日された著名な銹研究者クリステンセン博士から「ラストボーイ(銹研究者)」と握手されたのに, 「ビリの学生」と勘違いして赤面した. 昭和26年東海近畿農試に就職し, 後藤和夫博士の薫陶を受けた. はじめコムギ赤かび病研究の一環として, 病原菌の花粉への走向性を検討した. 顕微鏡に細工して行う後藤式単胞子釣り上法を多用したが, 無菌室のガラス越しに後藤さんの目のある時は操作の手が震えた. その後ボルドウ液散布によるイネの薬害を担当したのを契機に, 昭和31年東京大学助手に転任した後も, 有機水銀剤散布がイネの生育に及ぼす影響を研究. 後, 薬剤散布によって病原菌以外の微生物が影響を受けることを考えて, 葉面微生物の種類, 消長に関する研究を手がけた. また, 土居養二氏の植物マイコプラズマ発見時に机を並べていたお陰で, この未知病原の培養に初めて挑戦した. 成功はしなかったが, 実験経過に一喜一憂した緊張の連続であった. 昭和42年九州農試畑作部 (都城) に転じ, ナタネ菌核病防除の試験に従事して石灰窒素の効力などを確かめた. 昭和44年秋宇都宮大学農学部助教授に転出, 同53年教授, 平成5年3月定年で退職するまで勤務した. ここでは, エンドウ根腐病, ダイコン根部の亀裂褐変症, トマトばら色かび病, 白絹病, マンリョウ根黒斑病, ネギ黒腐菌核病, イネの不定性病害など主として病原の菌学的な研究に力を入れた.
 学会では, 評議員, 病名委員, 病名目録第1巻の改訂編集, 学会誌編集委員長などを経験した. 編集では多くの委員の方々に扶けていただいたが, とくに同じ研究室の奥田, 夏秋両君には大きな負担を強いたことが頭に残っている.
 最近の学会報告の内容の進歩には目を瞠るものがあるが, 若い研究者には細かい分析カと同時に, 現場の問題把握力, 病徴診断の眼力も鈍化させないで欲しいと願っている.

名誉会員 脇本哲
 昭和3年3月9日, 岡山市で出生. 岡山一中, 陸士. 岡山農専を経て, 昭和25年, 九大農学部入学. 植物病理学を専攻. 吉井甫教授に師事. 昭和34年まで大学院 (旧制) に在学. 学位取得と同時に農林省農業技術研究所 (現: 農業環境技術研究所) 病理科に採用され, 昭和41年, 細菌病第一研究室長昇任. 昭和44年, 九大農学部 (植物病理学教室) へ助教授として出向. 昭和50年, 教授および大学院農学研究科指導教官に昇任. 以後, 定年 (平成3年3月)まで, 主に植物病原細菌の生理生態を研究. 平成3年, 九大名誉教授. 平成4年, 東京農大教授 (嘱託) に就任. 同10年3月, 同大学を定年退職.
 講師併任: 下記大学農学部, または大学院農学研究科.
 佐賀大, 京都大, 北海道大, 鳥取大, 琉球大, 九州東海大, 山口大および九大教養部.
 九大学内での活動: 学生部参与 (2回) , 入試審議会委員, 同実施委員会委員長, 同出題委員会および採点委員会委員長. 国際交流委員会委員長.
 主な杜会活動: 学術会議微生物研連委員, 植物病理学会会員 (昭和29年 〜) , 同幹事長, 同評議員, 同学会誌編集委員長 (昭和59 〜 63年) , 同学会昭和60年度大会委員長, 同学会副会長 (平成元年) , 同会長 (平成2年) . 同学会傘下の細菌病談話会およびバイオコントロール研究会の設立に貢献. 第5回国際植物病理学会組織委員. その他, 九病虫研究会会長, 農薬学会評議員. 国際植物病理学会評議員, 同農薬防除部会委員, 同役員推薦委員会委員として活躍. また, インド植物病理学会, 凍結および乾燥研究会, 土壌微生物研究会などの会員.
 海外出張: 学会出席, 共同研究, JICAプロジェクト遂行, および招請などで約30回海外出張.
 主な研究業績: バクテリオファージとその利用による稲白葉枯病の発生生態に関する研究 (昭和40年度日本農学賞) , 研究報告約180編.
 主な著書: 微生物の保存法, 植物病理学, 微生物の分離法, 東南アジアの植物と農林業, 新植物病理学, 総説植物病理学, 植物病原性微生物研究法など.
 学会は今後もますます幅広い分野の研究者を集結し, 基礎・応用両面の研究を強力に推進していただきたい.

永年会員 越水幸男
 大正12年12月9日岩手県一戸町生まれ, 昭和18年盛岡高農農学科卒, 同年農商務省農事試験場病理部 (明日山秀文氏が主任技師)の雇となる. 同20年陸軍経理学校に幹候生として入隊, 同年敗戦で除隊, 東北小麦試験地 (盛岡市東安庭) に病理部から疎開中の川島耕一氏と合流. ここに平井篤造氏が赴任し, 間もなく東北農試栽培第二部畑作病害研究室が発足した. その後, 室長は田上義也氏, 飯田格氏に交代, 後者の時, 研究室は本場 (盛岡市下厨川) に移転. 同35年同農試栽培第一部 (秋田県大曲市) 水稲病害第二研究室長, 同54年草地試験場環境部長, 同55年東北農試環境部長を命ぜられ, 同59年定年退職. 同60年 〜 平成2年日植防協会嘱託として東北地区事務連絡所に勤務.
 西ヶ原では土井彌太郎氏の研究室で水稲根毛の原形質流動 (同氏の学位論文) の測定を手伝い, 盛岡試験地時代の初期は平井氏の小麦雪腐病および馬鈴薯ウイルス病研究の細胞生理または細胞化学的な部分を手伝った. しかし, 途中で療養のため6年間仕事から離れた. 再起後, 平井氏の転出から田上氏の赴任までの約1カ年, 室長代理的仕事をまかされ, 飯塚典男氏とともに大豆ウイルス病の研究 (学位論文) に着手した. 褐斑粒が特定のウイルスだけで発生し, しかもウイルスによって斑紋が異なることを今も不思議に思っている.
 大曲時代の初期にはいもち病を良く知らなかったので, 流行機構という漠然とした枠の中で, 佐々木次雄, 勝部利弘, 加藤肇, 太田義雄の4氏各自のもっともやりたいことをやってもらい, それぞれ評価の高い結果がえられた. しかし, 自分としてはいもち大発生の昭和38年頃漸くいもち病の実態を知りかけただけで, アメダス資料による葉いもちの予察法 (ブラスタム) の下図がえられたのは昭和53年であった. いもち以外に内藤秀樹氏と一緒にした稲褐色葉枯病の研究にも思い出がある.
 以上の大豆ウイルス病とブラスタムが主な研究報告で, ここ数年は東北冷害の限界温度や湛水直播水稲の転び苗発生機構などに関する小文をまとめたりして, ザル碁を楽しみながら, 許された日々を過ごしている.

永年会員 澤田啓司
 大正11年 (1922) 7月23日北海道旭川市で出生. 昭和17年10月北海道大学農学部入学. 昭和18年12月学徒出陣で樺太の歩兵第125連隊入営. 仙台陸軍予備士官学校を経て南方へ転じ, 昭和21年7月帰還復学. 昭和22年9月農業生物学科卒. 栃内吉彦教授指導のもと, 菜豆炭疽病に関する研究等, 助手. 昭和28年1月農林省入省, 横浜植物防疫所勤務. 8月より約半年, 米国向け輸出温州ミカンで問題となるかいよう病の調査研究のため来日したH. R. Fulton博士の助勢. 昭和33年12月米国Indiana州Purdue大学留学. 若い学生と共に受講, 学生生活をおくると共に, R. J. Green教授指導のもとハッカのSeptoria Leafspot等の試験, 昭和35年12月帰国. 昭和36年小樽出張所長, 昭和38年横浜国際課管理官, 昭和40年神戸国内課長, 昭和41年櫃物防疫課検疫班長, 昭和42年10月植物検疫等に関する会議等のため米国に出張. 昭和44年名古屋植物防疫所長, 昭和45年横浜植物防疫所長, 昭和54年8月退職. 植物防疫, 検疫は学理, 技術をもとにした行政で, 植物防疫所在職中は, 研修センターを建設するなど, その充実, 向上に心がけたが, 会員の方々には温かい力添えをいただいた.
 昭和54年日本植物検疫防除業会, 日本植物防疫協会勤務. 昭和57年ヤマト種苗緑化(株)勤務, 平成9年退職. 昭和59年貿易産業振興のため日本の植物検疫制度に関するセミナーの開催, 関係者との意見交換のためマレーシアに出張. 昭和52 〜 55年日本植物病理学会評議員.
 本日まで恩師, 先輩をはじめ多くの植物病理学会の方々の御指導, 知遇をいただき心より有難く思っている. 何の恩返しも出来ず忸怩たる思いだが, 植物防疫, 検疫が農業に携わる方々, さらにひろく国民に正しく理解され, 大きく発展して行くよう, その基礎となる学会の力強い進展を祈ります.

永年会員 渡辺文吉郎
 大正11年11月20日東京・深川に生まれる. 昭和18年9月東京農業大学専門部卒. 同年10月台北大学農学部入学, 12月学徒出陣にて陸軍特繰3期生となる. 復員, 九州大学農学部 (昭和23年) 卒業後, 吉井甫教授の下で2年間助手を務める (イネ小粒菌核病専攻). 昭和25年農林省宮崎改良実験所 (九州農試駐在) に転任し, 以後環境第一部でラミー白紋羽病の試験研究を7年間行った. 昭和32年に茨城県農業試験場石岡試験地 (指定試験畑病害) に転勤し, 主としてリゾクトニア病, 陸稲株枯病, 連作障害試験などに従事した. 昭和39年本場病虫部長に転出し, コンニャク根腐病, いもち病, 白絹病防除試験に従事した. この間, 昭和42年にパナマ共和国に稲病害防除指導のため8ヵ月滞在した. 通算約13年間県農試に勤務した. 昭和45年九州農試畑作部畑病害研究室長に転じ, ナタネ菌核病, サツマイモ紫紋羽病, ラッカセイ白絹病防除試験に専念した. 昭和48年同場病害第一研究室長となり, 主としてイネ白葉枯病の品種低抗性, もみ枯細菌病防除試験に従事した. 昭和52年農事試験場環境部長に転出し, 連作障害防止に関する特別研究の試験調整, まとめを担当した. 昭和56年同場畑作研究センター長として移転業務に専従し, 同年農業研究センター総合研究官に転じ, センター創立時の総合プロジェクト・チーム発足等の業務に従事した. 昭和58年に退官した. その後, 昭和62年から平成2年8月まで約3年間, JICA派遣職員としてセラード農業研究強化チーム・リーダーとして, 熱帯半乾燥農業の実態を知る機会をえた.
 昭和36年農学博士 (白紋羽病の生態と防除に関する研究) , 昭和52年度日本植物病理学会賞 (リゾクトニア病等土壌病害に関する研究) を受けた. この間, 日本植物病理学会評議員 (数年), 関東病虫研究会会長 (2期) を務めた.
 植物病理学も分子生物学の進歩により大いなる成果が期待される. 従来の菌学, 生態学を主体とした病理学と共に車の両輪となって植物病理学会の今後一層の発展に寄与すると確信している. ここに学会の諸先生, 先輩・後輩, 諸兄の御教示,御支援に心からお礼申し上げる.

貢献者 池上八郎
 昭和3年1月12日岐阜県益田郡萩原町で出生. 岐阜県立益田農林学校, 岐阜農林専門学校農学科を卒業, 昭和26年3月北海道大学農学部農業生物学科植物学分科を卒業した. 同年4月岐阜大学農学部研究生, 同27年5月助手 (植物病学研究室), 同38年5月助教授, 同41年3月農学博士 (稲こうじ病の伝染機構に関する研究, 北海道大学), 同41年7月アメリカ合衆国カリフォルニア大学バークレイ分校において「植物疾病に対する個体素因の研究」で1年間留学した. 同50年4月教授, 同53年8月第3回国際植物病理学会議 (ミュンヘン) に出席・発表, その後ドイツ連邦共和国とオランダの根こぶ病研究者と情報交換した. 同58年3〜5月文部省在外研究員として連合王国, アイルランド, フランスおよびドイツ連邦共和国の根こぶ病研究者と情報交換した. 昭和63年8月, 第5回国際植物病理学会議 (京都) に出席, 発表し, また“Clubroot workshop"を司会する. 平成3年3月定年退官, 同年4月岐阜大学名誉教授となる. 同年4月愛知淑徳短期大学非常勤講師, 同7年教授, 現在に至る.
 主な3つの研究歴を示す. 昭和30〜37年: 稲こうじ病に関する研究I〜X, 昭和40〜56年: 植物疾病に対する物理的要因の影響I〜VII, 昭和50年〜平成3年: アブラナ科植物の根こぶ病に関する研究I〜X.
 著書:『土壌病害の手引』根こぶ病分担執筆, 昭和59年10月発行, 日本植物防疫協会『新編植物病原菌類解説』池上・勝本・原田・百町共著, 平成8年12月発行, 養賢堂
 日本植物病理学会評議員: 昭和53年4月〜平成8年3月, 日本植物病理学会関西部会会長: 平成2年10月から1年.
 教育: 岐阜大学在任中に植物病学研究室を専攻し, 卒業, 修了した学生は222名である.
 植物病学を専攻する者は絶えず植物と病原体の分類, 形態, 生態および生理について学ぶことが大切と思う.

貢献者 大畑貫一
昭和2年7月29日島根県益田市に出生. 旧制浜田中学から陸士へ, 終戦で中退. 昭和24年3月鳥取農林専門学校卒業, 同年農林省に入省, 農事試験場東海支場病害研究室に配属となる. 後藤和夫室長のもとで白葉枯病菌のイネ被害葉およびサヤヌカグサでの越冬, イネ褐条病を発見. 昭和29年農業技術研究所病理昆虫部糸状菌第二研究室に転勤となり, 再び後藤和夫室長, 続いて高坂淳爾室長のもとで低温によるイネのいもち病に対する低抗力の変動機構の解明に取り組み, 昭和41年本研究で学位を取得. 昭和33年もみ枯細菌病発見. 昭和41年四国農業試験場へ転勤となり, 西南暖地の水稲収量停滞要因の一つである穂枯れに関与する病原菌を明らかにし防除法を確立, 本研究により昭和53年日本植物病理学会賞を受賞. 昭和46年病害研究室長となる. 昭和51年農業技術研究所へ転勤, 細菌病第二研究室長となり, レタスの腐敗に関与する病原細菌を明らかにするとともに伝染経路を解明した. 昭和56年農業研究センターへ転勤, プロジェクト研究第ニチーム長となり連作障害の総合防除システムの確立に取り組む. 昭和59年農業環境技術研究所へ転勤, 微生物管理科長となる. 昭和59年より同63年まで科学技術会議専門委員を併任. 昭和62年農林水産省を定年退官. この間昭和39年から41年まで本学会幹事, 昭和54年から平成5年まで同評議員.
 退官後は農林水産技術情報協会で生研機構発行のバイテク誌の編集を担当するとともに, 三菱化学横浜総合研究所で殺菌剤の開発研究に従事, 昨年から同研究所コンサルタント.
 現在, 『日本有用植物病名目録』の改訂に携わり, これまで恩恵を受けた学会へ少しでも貢献できることを念願している.

貢献者 新海昭
1927年10月8日長野県小海町で出生. 1948年3月宇都宮農林専門学校農科卒. 同年4月農事試験場病理部勤務 (1950年4月農業技術研究所と改称) , 1964年9月植物ウイルス研究所, 1974年10月九州農業試験場, 1988年3月定年退職. なお, 1962年10月〜1963年12月沖縄出張 (総理府), 琉球政府経済局農務課および琉球農業試験場駐在. 1988年4月〜 993年10月(株)日本植物防疫協会嘱託, 資料館のちに研究所小平分室勤務. 1993年4月〜1995年3月山梨県客員研究員 (嘱託) 果樹試験場勤務.
 1961年12月農学博士 (稲ウイルス病の虫媒伝染に関する研究) 東北大学, 1963年3月日本植物病理学会賞.
 日本植物病理学会評議員1980〜1987年, 同九州部会会長1986〜1987年, 同編集委員1984〜1987年. 第5回国際植物病理学会議では1988年4月から1年間, 会議前後の諸業務に携わった.
 私はウイルス病およびファイトプラズマ病の虫媒伝染に関連した研究に従事した. 西ヶ原へ入った1948年は食糧増産の時代で, 稲作の早期化に伴って西南暖地の各地でウイルス病が問題になっていた. 当時の西ヶ原は施設が荒廃しており, 害虫部で昆虫を飼育している人はいなかった. このような状況のなかで, 私は広口びんの底を抜いた容器で供試虫の飼育を始めた. ここではイネウイルス病のウンカ・ヨコバイによる媒介の問題を中心に研究を進めた. ウイルス研では野菜などのファイトプラズマ病の虫媒伝染に関する研究が主であった. サツマイモてんぐ巣病などによる花器官の葉化, 特に花弁の緑化現象には魅了された. 九州農試では, 東南アジアの「緑の革命」の影響を受けて九州に発生するようになった南方地域のイネウイルス病の発生生態に関する仕事を主に, サツマイモの葉巻病・帯状粗皮病などの研究を行った. なお沖縄以来, 媒介虫の生態写真の撮影に腐心した. 山梨ではブドウえそ果病の媒介生物の探索に当たったが, これが最後の研究となった.
 生態研究に関連して一言: 発生地の環境調査は既成概念にとらわれることなく, 努めてよく観察すること. ここから重要な示唆や発想が得られるように思われる.

貢献者 都丸敬一
昭和2年11月27日 (群馬県沼田市) 生まれ. 昭和27年東京大学農学部卒業, 同年日本専売公社 (現JT) 入社, 秦野たばこ試験場 (病理) 部長, 中央研究所 (喫煙科学) 研究部長, 同生物実験センター所長, 盛岡たばこ試験場長を経て, 昭和59年東京農業大学教授, 同61年大学院指導教授, 平成10年3月定年退職, 客員教授として現在に至る. この間, 東京大学, 東京農工大学 (6年), 信州大学 (2年), 日本女子大学 (2年, 植物防疫学), 琉球大学で非常勤講師として植物ウイルス学を講じた.
 研究としては, アブラナ科植物のウイルス病 (卒業論文), タバコにおけるキュウリモザイクウイルスに関する研究 (博士論文, 植物病理学会賞), アルギン酸ナトリウムを主材とする植物ウイルス病防除農薬の開発, 実用化 (財団法人 新技術開発財団功績賞−市村賞) 等の研究がある. この他, ジャガイモウイルスえそ系 (PVY-T) によるタバコの黄斑えそ病, タバコ条斑ウイルス, トマト黄化えそウイルス, 植物ウイルスの迅速診断法 (RIPA) の開発, ウメの葉縁えそ病に関する研究等を行った. ウメのウイルス病については現在も研究を続けている.
 学会では評議員 (12年), 関東部会責任者, 東北部会会長, 編集委員 (7年), ウイルス分類委員会委員長 (6年), 委員 (現在), 植物ウイルス病研究会代表 (4年), 選挙管理委員 (3年), 平成7年度 (80周年記念) 大会委員長の他, 国際ウイルス分類委員会, 植物ウイルス部会委員 (6年), 国際植物病理学会議 (京都) 実行委員, 日本農学会評議員 (2年), 日本ウイルス学会編集委員などを務めた.
 分子レベルの研究が主流となりつつある植物病理学研究であるが, 実学的研究との交流が必要であろう. 植物ウイルス病研究会はそれを意図したものである.

平成9年12月〜平成10年5月の学会活動状況
1. 大会開催報告
平成10年度日本植物病理学会大会は平成10年5月20日から22日にかけて北海道大学クラーク記念会館, 学術交流会館, 百年記念会館において開催された. 大会参加者は870余名にのぼり, 講演題数は448題, 懇親会参加者約540名であった. 会期中の札幌は幸い好天に恵まれ, 盛会のうちに事故もなく無事終了した.
 講演題数が例年より100題も多くなり, 当初予定した4会場を5会場に増やしてプログラムを作成したが, 昨年15分だった講演時間を再び12分に短縮し, さらに交替時間も設けることが出来ず, 熱心な講演と活発な討論に水をさしてしまったことをお詫び申し上げる. 数年前より4会場で開催することが難しいとの指摘が開催地よりされており, また昨年は初めて5会場で開催され, 今後は5会場が定着するものと思われる.
 本大会は北海道部会の全会員によって運営され, 北海道・札幌市・大会賛助会社の財政的支援により支えられた. ここに感謝の意を表したい. (上田一郎)

2. 研究会開催報告
(1) 第19回植物細菌病談話会
第19回細菌病談話会は平成9年11月27日および28日の2日にわたり, つくば市の農林水産技術会議事務局筑波事務所で全国より115名の参加者を迎え開催された. 今回のテーマは「植物病原細菌の多様性解析と防除戦略」で, 近年, 植物病原細菌の分類は分子生物学的手法を取り入れた研究によりめざましく進展しているが, 瀧川雄一氏 (静岡大) による世界的な研究動向の紹介に始まり, PSeudomonas およびXanthomonas 属細菌の遺伝的多様性についての最新の研究成果が紹介された. また, 今回は西山幸司氏 (農環研) による「植物細菌病診断のための同定法」をはじめとする講演10題に加え, 新しい試みとして若手研究者によるパネル・ディスカッションを設けた. 植物病原細菌の分類・同定・診断を中心として最新の成果が報告されたため, 活発な討議が行われた. 次回は山形大学で開催の予定である. なお, 講演要旨集の残部が若干あるので, 希望する方は照会されたい. (加来久敏)

(2) 第1回植物病害生態研究会
第1回植物病害生態研究会は90名の参加を得て平成10年5月19日, 札幌市の農水省北海道農業試験場で開催された. 今回は「病原菌の適応度をめぐって −病原菌の系統交代はなぜ起きるか−」というメインテーマを設けた. 北海道大学低温科学研究所の大串隆之氏による「なぜ適応度を測るのか?」, 北海道農業試験場加藤雅康氏による「ジャガイモ疫病菌の交配型A2系統の分布拡大とその要因 −系統間の適応度の違いは知りうるか−」という講演に続き, 全農営農技術センター中沢靖彦氏および農水省北陸農業試験場藤田佳克氏に「薬剤耐性菌, 感受性菌の適応度に関する研究の問題点と展望」および「イネいもち病菌病原レースの適応度に関する研究の問題点と展望」と題して, 研究現場で重要な課題と今回のテーマとの関係を指摘していただいた. 最後に総合討論を行った.
なお, 第2回植物病害生態研究会は11年度大会の前後に新潟市近郊で開催予定である. (石黒潔)

(3) 第8回殺菌剤耐性菌研究会
第8回殺菌剤耐性菌研究会シンポジウムは, 平成10年5月23日, 北海道大学農学部で開催され, 土曜日であったにもかかわらず, 145名の参加が得られた. 昨年のアニリノピリミジン系薬剤に続き, 今回も新規のストロビルリン系薬剤を取り上げ, クレソキシムメチルに対する感受性検定法 (日本曹達, 濱村洋: 日産化学工業, 大澤博文: ビーエーエスエフジャパン, 日詰圭) およびアゾキシストロビン感受性のべースライン (ゼネカ, Daleら) についての話題提供を受けた後, まとめ (農環研, 石井英夫) を行った. 次いで, 耐性菌を考慮した殺菌剤の使用法に関する指針作りなどで知られるFRAC (世界農薬工業連盟の殺菌剤耐性対策委員会) の活動状況 (日本曹達, 橋本章) , 北海道における耐性菌の発生実態と問題点 (道立中央農試, 竹内徹) が紹介された. また, リンゴ病害における耐性菌問題の実際とストロビルリン系, アニリノピリミジン系など新規薬剤の使用法 (青森りんご試, 藤田孝二) が, そして最後に植物病原菌類の多剤耐性機構 (東大, 中畝良二ら) が紹介された.
 本シンポジウムの講演要旨集 (1部 2,OOO円) をご希望の方は, 研究会事務局 (農環研殺菌剤動態研,TEL&FAX 0298-38-8326) までご連絡下さい. 次回は, 平成11年4月5日 (月)に新潟大学にて開催される予定である.
 なお, 同研究会の編集によって, 『植物病原菌の薬剤感受性検定マニュアル』が日本植物防疫協会より発刊された (定価 2,800円税込) . これは, 検定法のマニュアルと耐性菌に関する国内文献集とを併せたものであるので, 是非ご利用願いたい. (石井英夫)

(4) 第4回植物ウイルス病研究会
ウイルス病研究会の第4回シンポジウムは, 平成10年5月23日に北海道農業試験場大会議室にて148名の参加を得て開かれた. まず,
セッション1: 北海道の植物ウイルス病と題して, テンサイそう根病 (道立中央農試,齋藤美奈子) , ジャガイモウイルス病の検定 (種苗管理センター, 佐藤仁敏) ,北海道における主要作物のウイルス病とその防除 (道立北見農試, 萩田孝志) の3題の講演があった. 次に,「新興感染症としてのウイルス性ダニ脳炎の疫学」(北大獣医学部, 高島郁夫) の特別講演と「植物ウイルス病の病原をどう呼ぶか −和名, 英名, 略号などの使い方」(大阪府大, 大木理) のワークショップの講演があった.
セッション2: 植物ウイルス低抗性の分子生物学と題して, アラビドプシスにおけるCMV低抗性 (東京農工大 (現東北大), 高橋英樹), ササゲ −CMVシステムにおける遺伝子対遺伝子説 (東北大, 柄澤明), トマトのToMV抵抗性遺伝子の解析 (岡山大, 本吉総男) の3題の講演があった. 次回は, 2年後に岡山大資生研にて開催される予定である. なお, 本シンポジウム講演集 (1部 1,O00円) をご希望の方は北大農学部, 増田税 (Tel&Fax: 011-706-2483)にご連絡下さい. (増田税, 岩崎真人)

学会関連各委員からの報告
1. 日本学術会議報告
平成9年10月と平成10年4月に開催された両総会の概略を紹介する.
(1) 第127回総会 (平成9年10月22 〜 23日)
第17期学術会議の活動方針の審議と採択が主な総会議題であった. 第17期の活動方針に従い, 8つの特別委員会が設置され, その検討結果は第17期の終わりに勧告・要望・対外報告として政府などに提出される. 従って学術会議の活動の中心はこれら委員会活動にあると言っても過言ではない. 8つの特別委員会は以下の通りである. 1)学術の社会的役割特別委員会, 2)20世紀の学術と新しい科学の形態・方法特別委員会, 3)科学技術の発展と新たな平和問題特別委員会, 4)アジアのダイナミズムの多面的検討委員会, 5)女性科学者の環境改善の推進特別委員会, 6)少子社会の多面的検討特別委員会, 7)食問題特別委員会, 8)教育・環境問題特別委員会.

(2) 第128回総会 (平成10年4月22 〜 23日)
平成10年度大学等基礎研究関連機関予算において, 施設・設備経費などの共同利用研究の基盤的経費が予算積算上最大15%にも及ぶ大幅かつ突然の削減がなされたため, 総会でこの問題につき緊急討議が行われた. その結果「大学等基盤研究施設・設備経費の確保に関する日本学術会議会長談話」を出して政府に対し抗議することになった. その結果5月7日に抗議の会長談話が文部省に対して出された. (土崎常男)

2. 日本学術会議微生物研究連絡委員会報告
平成10年5月25日, 第17期, 第2回委員会が開催された. 議題と審議概要は次のとおりである. 1)第128回総会関連の報告, 特に行政改革を巡る最近の動向について: 総会報告があり, 特に, 行政改革の流れの中の学術会議の位置づけの説明があった. 2)IUMS (国際微生物連合) およびFAPMS (アジア太平洋微生物連盟) への対応について: 平成11年8月におけるIUMS総会における役員 (3名) 改選の対策と, FAPMSへの加盟の方針と問題点が議論された. 3)学術研究用生物遺伝資源の活用について: 平成8年学術審議会報告の「学術研究用生物遺伝資源の活用について」を参考に, 生物遺伝資源に対する現状が深められた. 4)生物多様性世界戦略下における微生物遺伝資源を巡る状況とカルチャーコレクションの新たな役割について: 標題に関するレクチャーがあり, これに基づき, 問題点および将来について審議され, 今後, この課題をさらに深めることとなった. (道家紀志)

3. 日本学術会議植物防疫研究連絡委員会報告
これまで平成9年10月と平成10年3月の2回開催され, その概要は下記のとおりである.

(1) 第1回植物防疫研連 (平成9年10月29日)
本研連は13学会, 16名の委員からなり, 委員長に三橋淳 (学術会議会員, 日本応用動物昆虫学会) , 幹事3名に, 土崎常男 (学術会議会員, 日本植物病理学会) , 安藤哲 (日本農薬学会) , 正野俊夫 (衛生動物学会) , 竹谷昭彦 (林学会) が互選された. 第17期の本研連の活動方針を, 2回のシンポジウムの開催 (シンポジウム委員会委員長: 土崎常男) と植物防疫研連関連の問題のヒアリングを行うことに決定した.
(2) 第2回植物防疫研連(平成10年3月18日)
1)「組換え体植物の安全性」のテーマで東光俊氏 (農水省技術会議先端技術開発課安全基準専門官) からヒアリングを行った. 2) 第17期の本研連の活動方針を「持続的生物生産における植物保護」とすることに決定した. 3) 平成10年度の植物防疫研連シンポジウムの課題を「遺伝子組換えによる作物保護の諸問題」とすることに決定した. 4) シンポジウム開催資金の援助を植物防疫研連の各学会に要望した. なお, 開催資金の一部を本研連の運営に支出することが承認された. (土崎常男)

4. 日本農学会報告
(1) 平成10年度日本農学大会
日時: 平成10年4月5日
会場: 国際文化会館
本年度の日本農学賞受賞者は次の7氏であった.
1) C02問題から見た木材生産・利用システムの再評価と新しい森林資源活用技術の開発
日本木材学会: 九州大学農学部教授 大熊幹章
2) 多年生花卉類の生態反応の解明と近代的花卉生産技術の確立に関する研究
園芸学会: 岡山大学名誉教授 小西国義
3) 食品香気に関する化学的研究
日本農芸化学会: お茶の水女子大学生活科学部長 小林彰夫
4) 熟成に伴う食肉の軟化機構に関する研究
日本畜産学会: 北海道大学農学部教授 高橋興威
5) 土壌間隙の立体構造と透水抑制に関する研究
農業土木学会: 岩手大学名誉教授 徳永光一
6) ニワトリのマレック病に関する研究
日本獣医学会: 東京大学大学院農学生命科学研究科教授 見上彪
7) 昆虫の表皮形成と体色変化の機構に関する生理・生化学的研究
日本農薬学会: 東京農業大学客員教授 (理化学研究所名誉研究員) 満井喬
また, 同日午後「アジアにおける環境と生物生産の現状と将来」というテーマでシンポジウムが開催された.

(2) 平成10年度第2回運営委員会議事要旨
日時: 平成10年5月20日 (水) 13:30 〜 15:OO
会場: 東京大学農学部 7号館 405号室
出席者: 光岡会長, 熊沢, 別府両副会長, 高橋 (園), 古川 (システム農), 山根 (植化), 丹下 (森立), 野村 (育種), 田付 (応動昆), 武政 (家禽), 高宮 (家政), 長谷川 (国開発), 平沢 (作物), 永田 (蚕糸), 浅野 (雑草), 大下 (植工), 中山 (獣医), 古澤 (水工), 富士原 (環境), 荒 (草地), 金井 (畜産), 藤原 (土肥), 高橋 (熱帯), 後藤 (気象), 小田切 (農経), 長澤 (農化), 八巻 (農作業), 佐藤 (農薬), 祖父江 (木材), 藤原 (林), 芋生 (機械)
議長: 光岡会長
議事:
1) 平成11年度シンポジウムについて下記の事項が決定された.
a) シンポジウムテーマは「アジアにおける環境と生物生産の現状と将来(Part2)」とする.
b) 話題提供学会は, 日本農芸化学会, 日本熱帯農業学会, 日本獣医学会, 日本木材学会, 日本畜産学会の5学会とする.
c) 平成12年度以降のシンポジウムテーマとして, 日本農薬学会から提案された「話題」に関連したテーマを考えることとし, また, 今回申し出のあった日本土壌肥料学会, 日本林学会については話題提供学会となるよう優先的に配慮する.
d) 講演時間は各演題につき質問を含めて30分とする.
e) 話題提供学会で組織するシンポジウム運営協議会を7月22日(水) 13:OOより東大農学部3号館211号室にて開催する.
f) 話題提供学会は「講演者, 演題, 座長, 講演者・座長の所属と連絡先」を7月15日(水)までに日本農学会事務局へ連絡する.
2) その他
a) 著作権協議会では「研究者著作権協議会」の設立を計画しており, 各学会を通して単行本の著者との契約を行う旨報告があった.
b) 学術会議関連の活動状況につき報告があった.
(本田要八郎)

今後の本学会の活動および関連学会開催予定

国際植物病理学会および関連国際会議の案内

会員の動静

学生募集

各種出版物案内
1. 学会関連出版物
『植物病原菌の薬剤感受性検定マニュアル』日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会編, 植物防疫特別号 (No.4) . 日本植物防疫協会, \2,667

2. 会員の各種出版物
A. Hadidi, R.K. Khetarpal and H. Koganezawa (ed. ) : 『Plant Virus Disease Control』Economic Importance; Strategies of Control; Resistance; Control of Vectors; Quarantine and Certification; Elimination; Detection; Present Status of Contrlling Economically Important Plant Viruses. APSPress, US $124.OO
K. Kohmoto and O. C. Yoder (ed. ) : 『Molecular Genetics of Host-Speciic Toxins in Plant Diseases』Toxin Biosynthesis; Effects of Toxins on Plants; Evolution and Genetics of Toxin Production and Pathogenesis; Sensing, Penetration and Host Degradation; Mechanisms of Plant Resistance and Susceptibility. Kluwer Academic Publishers, US $194.00
松中昭一:『新農薬学一21世紀農業における農薬の新使命』農薬の定義と命名法ならびに分類; 農薬の製剤と施用方法; 農薬の環境への影響と環境基準; 農薬の効用;農薬の作用機構; 農薬の毒性, 残量基準・使用基準ならびに残留の実態; 農薬の選択性と薬害; 生物農薬; 農薬問題に対する社会的対応; 農薬学各論. ソフトサイエンス社, \3,000
岸國平編:『日本植物病害大辞典』本会員約350名が執筆; 病名目録I〜Vおよび追録19号までに記載された6,200病害を収録; 前著『日本作物病害辞典』を増補・改訂するとともに, 前著で一部未収録だった牧草, 樹木, 主要野生植物も収録した; 病徴, 病原菌, 伝染について記述; カラー写真4,500枚. 全国農村教育協会, \50,000


書評
西尾道徳・大畑貫一編:『農業環境を守る微生物利用技術』A5判, 328pp., 発行: (株)農林水産技術情報協会, 発売: (社)家の光協会, \2,700
人間はどうしても先入観にとらわれがちである. 昔から, 人類は発酵の形などで, 微生物を微生物として認識する以前から有効に利用してきた. しかし, 一般に“微生物"というと“かび"を連想する. そして, それは“病気"へと連想が広がっていく. 我々を取り巻く環境中に存在する生物は, 植物, 動物, 微生物の3つに分類される. それぞれの生物は生態系の中で, 主として生産者, 消費者, 分解者の役割を担っている. その中のどれ一つが欠けても地球上の生態系は成り立たない. 従来, 農業環境の中で微生物を見た場合, 生産阻害要因である病気という点にスポットが当てられてきた. しかし, 当然ながら微生物は農業環境の中においても, 多様な働きを示している. 最近, 微生物の持つこの多様な働きについても, 新しい視点で積極的に研究されるようになってきた.
本書は, 現在農業環境の各場面について, 微生物を積極的に利用しようと研究を続けてきている第一線の研究者によって執筆されたものである. 第1部は序論であり, 農業環境における微生物利用の必要性について述べられている. 第2部は各論4章から構成されている. 第1章は微生物の作物保護への利用, 第2章は微生物の作物生産等への利用, 第3章は微生物の環境浄化への利用, 第4章では開放系における微生物利用の安全性について述べられている.
全体としては, 今後微生物を積極的に利用していこうというときに, 是非とも頭に置いておくべき事柄について, 良くまとまっている本であり, 一読をお薦めしたい. (浅賀宏一)


海外留学印象記
アメリカの研究力の源泉は?
1997年1月から1年間, 科学技術庁長期在外研究員として, 米国カリフォルニア大学デービス校のThomas R. Gordon教授の下で, メロンのフザリウム菌について研究する機会を得ました. デービスはサンフランシスコから北東へ車で約1時間のところにある, 人口約5万人ののんびりとした大学町で, 住民の大半が学生または大学関係者です. 治安もよく, 住居費も安いので, とても生活しやすいところです. ここの植物病理学科には26の研究室があり, 約100名の一大研究勢力となっています. 1年間アメリカの研究環境に触れて感じたことが多くありますので, その一端を紹介したいと思います.
まず, 設備・機械ですが, 日本の研究機関と比べて取り立てて立派というわけではありません. むしろ, 新しいものは少なく, 頑丈なものを長く便っているという印象です. ただし, 古い建物でも, 各部屋にイオン交換水の出る蛇口があり, ベンチ上に空気の噴出・吸引口をもつ配管が張りめぐらされていることには驚きました. また, 室内は24時間常時25℃程度に保たれています. 日本と大きく違うのは研究室間の壁が低く, お互いに気軽に出入りして必要な機械を効率的に使っていることです. 当然コミュニケーションも盛んで, 新情報の源となっているように思います. オートクレーブや電気泳動のゲル撮影装置などは多くの研究室で共有しており, 使用頻度が高いので常時つけっぱなしになっているため, 立ち上げの時間がかかりません. 研究支援部門では, 物品購入事務の責任者は一人で, 無駄な書類がありません. 中間業者がおらず, メーカーから直接物品が送られてくるため, 伝票提出後, 約1週間以内に納品されます. エッペンチューブ, キムワイプ, 制限酵素など日常使うものの大部分は, 大学内の売店で研究費で買うことができます. 使ったガラス器具などはバットにまとめて汚れ物と表示しておけば, 洗浄室に行き滅菌されて帰ってくるようになっています. また, 温室管理者がいて, あらかじめ指定しておけば, 水やりもそのようにしてくれます. 膨大な蔵書数を誇る図書館内にはコンピュータ端末が至るところにあり, 文献検索をするとその雑誌の配架場所が示されて容易に見つけられます.
教育の面では, 菌類学や植物病理学の授業は実験重視で, 学期内に2回行われる試験は筆記と実技に分かれています. 実技試験は, 試験室内に実物や顕微鏡標本がずらりと並び, これは何かと答えさせる問題です. 当然学生は授業に積極的に出て意欲的に学び, 教授陣も試験材料を毎回準備する甲斐性を求められます.
個々の研究者は, 取り立てて時間をかけて研究しているようには見えず, 夜や週末を家族と共に有意義に過ごしているようでした. ただし, アメリカ人の朝は早く, 多くの人は8時に仕事を始めています. 決まった休憩時間はなく, 昼食はパソコンに向かいながらサンドイッチをほおばるという程度の人が多いようです. また, 研究内容として, 私のいた研究室では, 病原菌の分子生物学的な解析と並行して, 圃場での泥臭い生態的研究も進めています.
いろいろと書きましたが, アメリカの研究が世界をリードしている理由は一概には言えないと思いました. 上に述べたような合理的研究環境とあわせて, 個々の研究者が流行に流されずに, 人と違うことをすることに意義を見いだしていること, また, 海外の優秀な研究者に門戸を開き, 積極的に受け入れていることなども大きな要因であろうかと思います.
最後に, 留学に際しご迷惑をおかけした研究室の方々とお世話になった方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます. (農研センター畑病害研究室 竹原利明)

会員の意見
学会参加費の引き下げを
今年の, いつにも増して盛大な札幌大会も無事終わった. 新しい試みも多く, よい刺激にもなった. 関係者のご努力に感謝したい. それにつけても気になるのは, 学会参加費の高さである. 今の半分くらいになれば, 学生たちがもっと気軽に参加できるのにと思う. 大会や部会の開催を, 簡素化してはどうだろう. 学会は中身が大事なのであって, 会場は大学などで十分である. 要旨集も縮小率を上げてうまく配置すれば, 今の半分のぺ一ジ数でできる (軽くもなる) . 懇親会は (目的はお喋りなのだから) ご馳走を並べるのはやめて, ビールとワインとチーズとポテトチップスぐらいにしたらどうか. 大会や部会は, 研究成果を発表する場であると同時に, 人と人とが出会い, 新しい可能性を醸成する貴重なチャンスである. 若い研究者ができるだけたくさん参加できるよう, 大会・部会の思い切った簡素化を検討してはどうだろう. (大木理)

学会事務局コーナー

編集後記

情報提供およぴ投稿のお願い