日本植物病理学会ニュース 第5号 (1997年02月)

平成8年6月 〜 平成8年11月の学会活動状況
1.地域部会
1) 開催状況
北海道部会: 平成8年10月28日 〜 29日
北海道農業試験場 (札幌市)

東北部会: 平成8年10月3日 〜 4日
エスポワールいわて (盛岡市)

関東部会: 平成8年10月4日
日本大学 (藤沢市)

関西部会: 平成8年10月11日 〜 12日
山口大学 (山口市)

九州部会: 平成8年10月23日 〜 24日
沖縄県農業試験場 (那覇市)

2) 開催報告
北海道部会 :
 平成8年度の北海道部会は1O月28日 (月) と29日 (火) の両日に,札幌市の北海道農業試験場で開催された. 参加者は例年より多く約120名であった. 28日には午後からシンポジウム形式の談話会を行い,「植物病理学における分子生物学的アプローチ」というテーマで,4名の方に講演をお願いし,病害抵抗性に関する分子レベルでの解析および病原体の遺伝子診断などの先端的研究の講演がなされ, 広く活発な論議がなされた. 当部会では発足当時から談話会が開催されているが, 通算168回となった. 夕刻には約70名の参加を得て懇親会が開かれ, なごやかな歓談が2時間続いて終了した.
 翌日の29日には9時30分から一般講演が行われた. 分子生物学的基礎研究から生物防除に関する研究, 新病害の性状など26題の講演が行われ, 昨年同様若手の方々に座長をお願いした. 昼休み後には総会が開催され,庶務,会計報告が承認された. また,土屋部会長は2年間の任期を終え,北海道農業試験場生産環境部長の小川杢氏が次期部会長に決定した. 引き続いて一般講演と活発な論議が5時頃まで続き,本年度の部会を成功裡に終了した. (畑谷達児)

東北部会:
 平成8年度 (第32回) 東北部会は10月3日 (13時) から4日 (12時30分) にかけて盛岡市「エスポワールいわて」で開催された.一般講演では36題 (ウイルス・ウイロイド病15題, 細菌病6題, 糸状菌病15題) の発表があり,約110名の参加者のもと熱心な質疑応答が行われた. 特別講演には宮城県植物防疫協会の三浦喜夫氏を迎え,「宮城県における多系品種利用によるイネいもち病防除の現況と問題点」の題でご講演いただいた. 3日の講演終了後には,約100名の参加を得て懇親会が開かれ,羽柴輝良部会長と岩手県農業試験場場長田中義一氏の挨拶,津山博之名誉会員の音頭による乾杯後,3時間近くにわたりなごやかな歓談が続いた. 4日 (8時30分) に開かれた総会では,会務報告,学会や談話会等の開催状況,学会の近況,収支決算等の報告がなされた. また次期部会長には弘前大学農学部原田幸雄教授が選出され,次年度開催地は宮城県 (開催幹事長: 宮城県園芸試験場及川俊雄氏) に決定した. (吉川信幸)

関東部会:
 関東部会は,宇都宮大学農学部奥田誠一部会長の後を引き継ぎ,平成8 〜 9年度は日本大学生物資源科学部篠原正行部会長の下で運営されることになり,本年度は平成8年10月4日湘南校舎第1講義室で午前9時30分から開催された. 当日は日本大学の創立記念日に当たり休校であったが,門田定美副総長の歓迎の挨拶をいただいた後,直ちに講演に入った. 講演題数は43題で,午前の部の終了が30分程度遅延したが,午後の調整で全講演をほぼ予定通りに終了した. 参加総数は200余人. 講演終了後,食堂棟2階の教職員食堂において約50名の参加を得て懇親会がもたれ,土居養二東京大学名誉教授の乾杯の音頭で開宴し,なごやかなうちに懇親の実を上げた. 見里朝正部会長の下で開催された昭和60年度秋季部会に会場をお貸ししたことがあるが,部会運営の経験は初めてで,当初は心配であったが,曲がりなりにも第1回を無事終了できたのは会員の皆様方の御協カの賜物であると感謝する次第である. (篠原正行)

関西部会:
 平成8年度関西部会 (第49回) は,10月11日と12日の2日にわたって山口大学大学会館で開催された. 参加者総数は231名で,80題の講演発表は2会場に分かれて熱心に行われ,討論が活発になされて予定時間を超過することもあった. 第1日目の総会後,一谷多喜郎氏による部会長講演が「卵菌綱の系統分類に関する最近の動向」と題して大学会館ホールで行われ,第2日目の一般講演終了後の午後には, 同ホールに本間善久,古賀大三,田中博,内藤秀樹の各氏を講師に迎えた公開講演会「作物病害防除の新展開」がもたれ,多数の参加者を得て盛会であった. 部会初日の夕べには,大学会館レストランで129名が出席して盛大な懇親会が催され,なごやかに参加者の交流が深められた.
 役員会は講演会前日の10月10日午後3時半から山口市内のかめ福本店で開催され,庶務,会計などの報告が承認された後,部会会則に基づいて平成9年度部会長に甲元啓介氏が当選したことについて報告があり,了承された. 平成9年度の部会南催地として島根大学を,同開催委員長として野津幹雄氏が選出され,さらに部会事務幹事として児玉基一朗氏が,開催地幹事として荒瀬栄氏がそれぞれ推薦された. これらの案件は,11日午後の総会において提案され,承認された. (一谷多喜郎)

九州部会:
 平成8年度九州部会は,九州農業研究会との共催で,10月23日(水),初めて沖縄県で開催された. 九州農業研究会は作物,土壌肥料,病害虫,畜産,農業機械,農業経営,野菜・花き,果樹の8部会よりなり,那覇市各地の13会場で研究発表が行われた. 病害の講演会は沖縄県農業試験場大会議室で過去最高の32の講演申込があり,いつもより講演時間を短縮したにもかかわらず,活発な質疑応答があり,ほぼ時間どおり終了した. 内容は糸状菌14,細菌7,ウイルス11題で,果樹病害の講演が目についた. 講演会終了後,場所を市内中心部の沖縄県青年会館に移し,恒例の虫害部会との合同懇親会が盛大に行われた. 懇親会は沖縄方式で,集まった人達が三々五々テーブルを囲み飲物を飲みオードブルに箸をつけ,若干舌の回転が良くなったところで,セレモニーとなった. 外国のパーティーもこういうスタイルが多いようであるが,概ね好評であったように思う.
 翌24日 (木) はシンポジウムが9時より開催された. 話題は,国際農林水産業研究センター沖縄支所眞岡哲夫氏による「東南アジアのパパイヤに発生するウイルス病」,九州農業試験場平八重一之氏による「キチン分解性細菌による植物病害のバイオコントロール」,琉球大学農学部諸見里善一氏による「Rhizoctonia solani Kuhn の菌核形成における栄養源の利用 −特にリン酸と炭素源について−」というテーマで提供していただき,質疑応答の後,正午盛会裏に終了した.
 なお,初日の幹事会で次期部会長に佐賀大学佐古宣道氏が選ばれ,総会で満場一致の承認を得,平成9年4月より2年間部会長をつとめていただくことになった. (荒井啓)


2.談話会,研究会
1) 開催状況
植物感染生理談話会: 平成8年7月17日 〜 19日
蔵王ハイツ(宮城県蔵王町)

土壌伝染病談話会: 平成8年11月14日 〜 15日
千葉大学けやき会館大ホール

2) 開催報告
植物感染生理談話会:
 日本植物病理学会第32回植物感染生理談話会は,平成8年7月17日 〜 19日の日程で,宮城県刈田郡蔵王町遠刈田の宮城蔵王高原にある「蔵王ハイツ」において開催された. 参加者は特別講演者を含めて127名であった.
 今年のテーマは,「植物感染生理学研究の現状と将来展望」ということであったが,今回は二つの目玉を設定した. その一つは,最近話題になっているタンパク質のリン酸化を介した情報伝達機構についての学習であり,動物側から「サイトカインによる細胞膜から核へのシグナル伝達」と題して菅村和夫先生 (東北大・医),「プロテインフォスファターゼと細胞機能の制御」と題して田村眞理先生 (東北大・加齢研) に, 植物側からは江尻慎一郎先生 (岩手大・農) に「タンパク質生合成とそのリン酸化による制御: 植物の系を中心に」と題した特別講演をお願いして他領域での研究進展状況についての理解をより深めた. もう一つの目玉としては,植物感染生理談話会の原点に戻って,旺盛な研究活動を展開している若い研究者に,これまで蓄積した独創的な研究を紹介していただくとともに,植物の感染生理学的現象について斬新な発想のもとに議論を戦わせていただくことであった. 具体的には病徴発現の機構 (柏崎,白川,成澤の各氏) ,病原と宿主の特異反応 (児玉,小林,沖中,鈴木,三瀬の各氏) ,病原菌および植物間の信号分子 (柿谷,高橋,御堂,豊田,川北の各氏) ,病原性にかかわる遺伝子 (宮坂,新田の各氏) と植物感染生理学全体をほとんど網羅できる興味深い内容となり,いずれも持ち時間を超えた活発な議論が行われた. 最後に江原淑夫氏 (東北大・農) が今回の談話会の総括を行ったが,議論が尽きずに予定時間が大幅に超過するほどの盛況であった.
今回は,新進気鋭の若手の研究者や大学院生がこれまでになく多数参加したためか,雰囲気が明るくしかも活気に満ちた議論が連日夜遅くまで続き,若手研究者の相互の交流をさらに深めることができたと確信する. この人的交流は今後の我が国の植物感染生理学の発展にとり大きな原動力になると思われた. なお,次年度は,新潟大学を中心に計画をお願いすることになった. (生井垣雄)


3.名誉会員・永年会員・貢献考の略歴とお話
名誉会員 野中福次
 1925年9月16日生. 1950年九州大学農学部農学科卒業. 1958年3月九州大学旧制大学院修了. 1963年5月佐賀大学助教授. 1970年5月同教授昇任. 1990年3月佐賀大学定年退職,同学名誉教授. 現在九州病害虫防除推進協議会会長. 1974〜1993年日本植物病理学会評議員. 1976,1980 〜 1981,1988 〜 1989年日本植物病理学会九州部会長. 1984 〜 1987年日本植物病理学会報編集委員などを歴任.
 植物病理学という学問に接したのが1947年で,それから50年にもなるが,この間の学問の進歩は想像を絶するものがある. どうしためぐり合わせか,縁あって植物病理学という学問を講じ,指導すること30有余年,今は辞して5年過ぎた. 現役時代は「寄生者としての病原微生物と宿主である植物との相互作用の解明こそが植物病理学の中心課題」と考え, まずその第一歩はコッホの定義を各自が検証し,生きている植物体上で相互反応を究明することの重要性を強調し,指導理念としてきた. さて,ふり返って私が最初に参加した1951年の全国大会の講演数は75題,水稲病害13題中の9題がいもち病の発生生態,ウイルスが10題で発生と伝染がほとんど,出席者100余名,1会場2日間であった. これを1995年80周年記念大会と比べると,発表数339題,水稲病害で発生生態が1題,一方,いもち病菌については19題の発表があり,そのすべてが分子生物学,ウイルスは90題中51題が分子生物学,出席者757人,4会場,3日間の開催であった. このように,この半世紀の間にわが学問の研究内容もすっかり変貌した. わが学問は「病徴や病気の経過を観察し,病原を探求し,病植物の形態・生理的変化を調べ,さらに防除の方法も講ずるものである」と理解し,指導してきたが,学会の実態との隔差はあまりにも大きい. 植物病理学の学会のあり方について根本的に問い直す必要があるように思われてならない.

名誉会員 獅山慈孝
 大正15年3月31日彦根市に出生. 彦根中学,官立明治工専 (現九工大) 応用化学科卒業後,京都大学農学部農林生物学科入学,昭和25年3月同学科卒業 (植物病理学専攻). 昭和31年3月まで同学部生物化学研究室研修員. 昭和31年4月同学部講師採用 (植物病理学研究室) . 同年10月助教授昇任. 昭和60年教授昇任. 平成元年3月京都大学定年退職,同学名誉教授. 同年4月近畿大学農学部教授採用 (食品微生物学研究室) . 同8年3月退職. この間北大,京府大,京工繊大,阪大,佐大,高知大,JICAの非常勤講師,JICA,SAEDAの専門家業務 (生物工学) 委嘱. また,中国・韓国招へい学者として派遣. その他第5回国際農薬学会議運営委員,第8回国際植物病理学会議組織委員会副委員長,日本植物病理学会評議員・関西部会長,日本農薬学会・日本生物環境調節学会評議員・理事,きのこ技術集談会会長,CAアブストラクターなどを歴任.
 昭和25 〜 31年: 窒素配糖体の合成とその生理作用. 昭和31 〜 45年: イネごま葉枯病の生理・生化学的研究−とくにアミノ酸・蛋白質代謝(グルタミン酸と感受性およびアミラーゼ阻害蛋白質の誘導), クチンエステラーゼの分離と酵素学的性質. 昭和45年 〜 平成元年: オオムギうどんこ病の感染生理・生化学的研究−とくに自発蛍光物質の生成と低抗性ならびにその単離・構造決定,無菌オオムギの感受性と免疫性誘導,イネいもち病における低抗反応の細胞学的研究とリポキシゲナーゼ活性,この他にBMV,TMVおよびウリ類炭疽病菌に関する研究. 平成元 〜 8年: きのこの子実体形成に与るプロテアーゼ活性,果菜類に含まれる抗変異原性物質の単離,ポストハーベスト病害の調査とペニシリウム属菌の種名決定,腐敗青果物に生産されるマイコトキシンの分離と同定.
 好きな言葉: 智目行足・根情. 趣味:庭いじり・晩酌・剣道3段. 家族:妻・息子2人の家族 (別居,7人).

永年会員 笠井久三
 大正9年1月20日生. 昭和19年9月台北帝国大学農学部農学科卒業. 昭和21年2月農林省入省. 昭和37年4月茶業試験場栽培部病害研究室長. 昭和56年1月退職.
私は昭和21年2月農林省農事試験場 (後に農業技術研究所と改名) −西ヶ原−に入所した. 病理部長は明日山秀文先生で,室長も兼務しておられた. 与えられたテーマは「土壌伝染性病害の病原菌と他の土壌微生物との拮抗現象」という格調高いものであった. しかし,本格的に研究が行われたのは翌年鈴木直治さんが,また翌々年荒木隆男さんが入られてからである. 研究を進めていく過程で,私が埼玉県上尾町 (現上尾市) のサツマイモ紫紋羽病の罹病塊根から分離した病原菌について生長に必要なビタミンを調べたことがある. 本菌の生長にはサイアミンとビオチンが必須であると報告した. コムギ立枯病は当時全国的に発生していて圃場試験,調査に追われた. この病気は肥料が出回るようになった26年頃自然に消減した. 昭和29年2月農林省東海近畿農業試験場茶業部 (後に茶業試験場となる) −金谷− に転勤した. 昭和35年農林水産技術会議事務局から白紋羽病発生茶園の環境調査の要請があった. 病害研究室と土壌肥料研究室が共同で静岡県他3府県の発生地について調査した結果は,白紋羽病の発生にはある特定の土壌環境が必要というより,むしろ極めて広い範囲で発生することを示すと解釈するのが妥当であろうということであった.

貢献者 澤村健三
 1925年4月14日生. 1950年北海道大学農学部農業生物学科卒業. 1950年農林省入省,東海近畿農業試験場園芸部 (静岡県清水市). 1958年東北農業試験場園芸部 (青森県藤崎町). 1961年園芸試験場盛岡支場 (岩手県盛岡市). 1967年同場病害研究室長. 1967年「リンゴ斑点落葉病に関する研究」によって農学博士の学位を授与される (北大). 1971年弘前大学農学部 (教授) に採用される. 1991年定年により退官,名誉教授. 現在,青森県植物防疫協会顧問. 1972 〜 1992年日本植物病理学会評議員,1973年,1987年,日本植物病理学会東北部会長などを歴任. 北日本病害虫研究会会員. 米国植物病理学会会員.
 主として果樹病害,特に一貫してリンゴの主要病害の病原の究明とその生態の解明を研究の対象としてきた. 斑点落葉病,黒星病,褐斑病および高接病などである. また,モニリア病や黒星病に対する殺菌剤防除,および腐らん病に対する生物防除についても研究を行った. 弘前大学在任中に植物病理学を専攻した学生約150名のうち,現在果樹病害研究者として第一線で活躍している者が多い.

4.各種グループの活動報告
1) 樹木医研究会第1回大会が開かれた
 平成8年11月16日(土)東京農業大学1号館4階の合3教室において,標記の研究会の第1回大会が開催されました. 平成7年9月に設立総会を開いて研究会が発足してから満1年,会員数約350名の加入を得て,会員の研究あるいは実践活動の成果を問う第1回の大会となったものです.
 大会には120名余の会員・非会員が出席し,受付で新入会の申込みをする姿も見られました. 総会では次年度計画の中の会誌“樹木医学研究"の発行が提案され,満場一致の承認により研究会の顔を形づくっていくことになりました.
 総会のあと,松井光揺氏と林康夫氏による特別講演がありました. 松井さんはかつての林野土壌調査で山野を歩き回った経験を踏まえて,畑地土壌と林地土壌の違い,平地と傾斜地の土壌の違い,平らな緑地での土と根の話をわかりやすく話され,林さんは生立木腐朽の程度を,なるべく樹を傷めないように測る各種の機器の特性と実用性を紹介されたあと,腐朽病害防除の新たな手法として,トリコデルマ菌による生物防除の可能性を紹介されました.
 午後からの一般講演は13題,うちヤドリギ,腐朽,降電等の被害事例報告が5題,樹木の水分生理,材内の組織変化,腐朽菌の侵入と進展が各1題,腐朽の測定機器と方法3題,生物防除1題,診断カルテのデータベースソフト化1題でした. 各演題とも発表後の質疑応答が活発に行われ,時間オーバーで座長から質問打切りを言い渡されることが続きました.
 この中では大沢正嗣氏 (山梨県森林総研) のカラマツの生立木材質腐朽病 (根株腐朽と幹腐朽) の被害解析のまとめが明快で,また東邦レオ(株)・(株)エコルグループによる生立木内部腐朽測定機器と使用例2題が注目をひいていました. (小林亨夫)

2) 第1回植物病理東北若手の会が開催された
 平成8年10月4日,平成8年度東北部会終了後岩手県林業技術センターに場所を移し,第1回の植物病理東北若手の会が開催されました. 本会は東北地域で植物病理の研究に従事,あるいは興味を持つ若手研究者 (年齢制隈を設けていないので,"自称"の方もおられますが) 間の交流を深めるべく,「関西若手の会」に倣って開催されたものです. 人が集まらないのではという心配をよそに,59名もの参加者が集い,交流会,講演会,そして深夜にまで及んだ懇親会と盛りだくさんの内容で,翌朝の解散時には参加者全員が疲れてはいるものの充実した顔つきでした. 講演会では,特別講演として帝京大の渡辺雄一郎先生と岩手生工研の中村郁郎先生に最新の話題を提供していただきました. また一般講演としては各地域で研究の最前線に立っ4名の方にお話しいただきました.
 本会は来年以降も東北部会にあわせて開催していく予定です. また東北にゆかりのある方であればどなたでも参加していただけます. お問い合わせは事務局 (東北大農 柄澤) までお願いいたします. (柄澤明)


今後の学会活動および関連学会開催予定

国際植物病理学会および関連国際会議の案内

会員の動静

農林水産省研究機関の組織改正

海外留学印象記
1. カリフォルニア大学への留学
 1994年4月から2年間カリフォルニア大学リバーサイド校 (UCR) のKeen教授の研究室へ留学をした. UCRでは,植物病理学科に15名,線虫学科に10名の教授陣であった. 大学院学生やポスドクが,それぞれの研究室に分かれて多数在籍しており,週1回の植病全体セミナー (講師は他大学の研究者かUCRの教授) では,議論は活発で充実していた.
 Keen教授は今年56歳になられたが,休日もクリスマスも正月も実験をされていた. 他州や外国へ出張される以外は8時に出校され,すぐに氷を実験容器に入れて実験台に向かわれ,実験は深夜に及ぶこともあった. 論文などを多数執筆されていたが,多忙な時でも執筆活動は午前中4時間の実験を終えてからであった. 私が在籍していた当時,Keen研究室では,多くのビジターやポスドクを受け入れ,それらの国籍は日本 (神奈川農総研の北宜裕さん),中国,韓国,スイス,イスラエル,南アフリカ,ナイジェリア,フランス,イギリスなどで,研究環境は国際的であった.
 南カリフォルニアの気候は,夏の暑さは湿度が低いので不快感はなく,冬は暖かくて過ごしやすく,一年中快適であった. バケーションは,グランドキャニョンやデスバレーなどにでかけた. アメリカ西部には,とてつもないスケールの大自然が広がっており,ドライブ旅行は楽しかった.
 特異的低抗性エリシターのシリンゴライドのレセプターの探索のため,誘導体を合成し,ポリクローナル抗体作成および125Iでラベルするという手法で研究を行った. シリンゴライド処理で,Rpg4の低抗性遺伝子をもつダイズ品種にのみ褐変が誘起されるのを観察したとき,これがKeen教授が20年も前から提唱しておられたエリシター仮説なのだと感激した. 生物検定の結果を実際に見て納得した次第である.
 前半は,生活,言語での問題やさまざまなトラブルで苦労したが,後半は研究に集中できた. 2年間の素晴らしい体験をし,阪南大学へ帰校した. (鶴嶋 鉄)

2. コーネル大学への留学
 本年3月下旬から約半年間,文部省在外研究員として米国ニューヨーク州のコーネル大学のOlen C.Yoder教授の研究室に留学できました. Yoder教授の下ではGillian Turgeon助教授とともにトウモロコシごま葉枯病菌を中心としたCochliobolus属菌の毒素産生遺伝子や病原性に関与する遺伝子群の探索とmating遺伝子の解析を主要なテーマとして精力的に研究され,小生もその一端に参画することができました. 同大学の植物病理学科内および周りには多くの著名な教授連がおられたにもかかわらず,個々の研究室の施設や設備は日本の大学と比べて必ずしも整備されているとは言えません. しかし,それぞれの得意とする分野・設備をうまく相互に利用し,活発に共同研究することで最先端の教育と研究を維持・推進しようと努力されていることが印象深く感じとれました. 特に,大学院生に対する自立した教育・研究者養成のためのプログラムや研究サポート体制は,制度や規模の異なる日本の大学とは一概に比較できないものの,我々との研究推進力に大きな差となって反映されているように感じました. さらに,研究プロジェクトを院生,ポスドクとの議論の中からとり進めていくやり方は大いに参考になりました. ただ,毎週金曜日の朝の学科のコーヒー・ブレイクでの話題や水曜日のセミナーでの議論には語学カの不足と文化の違いを痛感させられました. いずれにしても,自然豊かなキャンパスと親切なイサカの町の人々のおかげで,雑務のない研究生活を送れ,多くの友人ができたことは大きな収穫でした. 最後になりましたが,細川大二郎先生ならびに高橋英樹先生には留守中の雑務を一手に引き受けていただき,感謝に堪えません. また,コーネル大学博士課程の井上哲君 (東北大卒),草地試験場の月星隆雄氏の滞在中のご厚誼に感謝いたします. (寺岡 徹)


会員の意見
1. 学会報編集を終えて
 学会報編集の大番頭である幹事長はこの4年間何もせず,編集委員長 (江原先生) に編集のすべてをお願いし,校正の労はすべて編集幹事にまかせて,このほど無事終了し,三重大学 (久能先生) のもとに移行しました. この間,欧文と和文を区別し,欧文を前に和文を後に,更にはB5判からA4判の大判に黙って変更し,多くの人々から本棚に入らないなどの苦情をいただきました. しかし,欧文,和文の区別がはっきりしたことから,現場での仕事をしている人達の投稿が増えて参りました. 学会報は“学会の顔"と誰もが言います. ところが,「このような学会はもうやめて新しく別の学会を作りたい」という声も多く聞かれます. 大学と農水省の片寄った会にならないためにも皆で学会の在り方を考える時ではないでしょうか. 4年間,最も仕事をしなかった編集幹事長の感想なので全く説得力はありませんがね. (羽柴 輝良)

2. 学会幹事を終えて
 学会幹事の任期を終えて半年が経ちました. 幹事の時には身近だった学会がまた遠のいてしまい,あの頃感じていた疑問も忘れかけています. そんな中で一つ. 私はたまたま初めて県農試から幹事になったわけですが,学会活動の中枢を垣間見て思ったのは,評議員の中に県レベルの代表があまりにも少ないということです. 派閥主義は良くありませんが,会員の相当数を占めている公立農試の代表が2人 (飯島勉氏,田中寛氏) ではやはり寂しすぎます. 私自身これまであまりまじめに投票していなかったので,偉そうなことは言えませんが,選挙には参加した方が良いと思いました. 国政選挙と違って,選びたい人の人柄や考え方もわかるし,自分の入れた票が全くの死票になることもありません. 学問的な発展は大学の先生や国の研究機関に負うところが大きいとは思いますが,学会を下から支えているのは私たちなのです. 私たちの代表を評議員に送りましょう! (竹内 妙子)


海外協カプロジェクトの紹介
現在実施中のプロジェクト方式技術協カのうち,植物病理関係者が長期専門家として参加している案件は以下のとおりです. なお,左から,国名・プロジェクト名,プロジェクトの協カ期間,長期専門家名です. ○印の長期専門家は,リーダーです.
1. ドミニカ・胡淑開発計画 (II) 90.6 〜 97.7 松田 明
2. インドネシア・種子馬鈴薯増殖・研修計画 92.10 〜 97.9 片山克己
3. ネパール・園芸開発計画 (II) 92.11 〜 97.11 ○ 佐久間勉
4. パキスタン・植物遺伝資源保存研究所計画 93.6 〜 98.5 三枝隆夫
5. ブラジル・アマゾン農業研究協カ計画 90.6 〜 97.6 遠藤忠光
6. スリランカ・植物検疫所計画 94.7 〜 99.6 ○ 池上薙春,末次哲雄
7. ブラジル・セラード農業環境保全計画 94.8 〜 99.7 松本和夫
8. アルゼンチン・植物ウイルス研究計画 95.1 〜 2000.2 ○ 松本省平,匠原監一郎,宇杉富雄
9. ウルグァイ・果樹保護技術改善計画 95.3 〜 2000.2 ○ 田中寛康
10. メキシコ・モレロス州野菜生産技術改善計画 96.3 〜 2001.2 鬼木正臣
11. ブラジル・南ブラジル小規模園芸研究計画 96.12 〜 2000.11 ○ 柳瀬春夫,小澤龍生


学会事務局コーナー

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編集後記